丹波市市島町にある、江戸の享保元年創業の老舗「山名酒造」。昔ながらの手法を大切に、地域の素材と手仕事にこだわった酒造りをしています。「男性の飲み物」というイメージが持たれがちな日本酒ですが、山名酒造のお酒は、その繊細な工程と飲み口のまろやかさで、女性からも支持されています。

 

蔵人の息遣い感じる、酒造りの現場を見学!

 

 

10月下旬のある日、SATURDAY TAMBA取材陣は朝の8時前に酒蔵に集合、蒸しあがった酒米を「麹室(こうじむろ)」に運ぶ作業を見学しました。

蒸米は朝8時ちょうどに蒸しあがり、8時前には蔵人たちが職人用の半纏を羽織って続々蔵に入ってきます。

 

 

8時になると甑(こしき)から酒米を取り出し、適温になるまで冷却します。

 

 

 蒸米の温度が人肌程度になると、杜氏が種切り(麹菌の散布)を行います。

 

 

種切後の酒米は麻布で包み、温度が下がる前に走って「麹室」へ。

 

 

一度に運ぶ蒸し米の重さは約20キロ。重い蒸し米を抱え、走って「麹室」へ運ぶのは、体力も技術も必要な作業です。近年では機械を使って運ぶ酒蔵も増えていますが、山名酒造では麹菌の状態やお酒の品質を最良にすることを考え、あえて昔ながらの方法をとり続けています。

 

 

この木の扉の向こうが「麹室」。中は発酵に適した環境に整えられています。この「麹室」の中で麹菌を繁殖させ、酒米は「米麹」へと変化してゆきます。「米麹」は、酒米のデンプンをブドウ糖に変えるという役割を持つ、酒造りの大きな鍵を握るものです。

 

 

蒸米は「麹室」だけでなく、小さなタンクにも運ばれていました。ここでは頭(かしら・杜氏の右腕)が酒母(しゅぼ)に櫂を入れ、蔵人たちがそこに蒸米を投入していきます。酒母とは、アルコールを生む清酒酵母を大量に純粋培養することを目的に造られるもので、日本酒を造る土台とも言えるものです。

 

 

 

蒸し米運びの作業が終わると、蔵内の掃除の時間。酒蔵では、一日の仕事のほとんどが掃除なのだとか。発酵とお酒の味わいの鍵を握る常在菌(蔵つき菌)の状態を良くするため、蔵を清潔に保つことも酒造りには重要な要素です。

 

米を蒸した和釜の「鬼蓋」を上げて釜の掃除開始。鬼蓋は蒸気を吸って日ごとに重くなります。

 

 

飲みたくなる、見せたくなる! 古くて新しい山名酒造のお酒

 

酒蔵見学のあとは、直売所で気になるお酒を購入。味はもちろん、瓶のデザインも素敵なお酒に注目です。

 

直売所の様子

 

「奥丹波 季節の酒」は、季節ごとに変わる奥丹波の里山の風景を表現したラベルを装い、夏のスッキリとしたのどごしや、秋のコク深い飲み口など、四季折々に変化するお酒の味わいを楽しめる人気商品です。

 

奥丹波 季節の酒シリーズ 720ml 1,760円。丹波市の木版画家・渡辺トモコさんによる手彫りの版画ラベルがノスタルジック。

 

定番人気の「奥丹波」のほかにも、ジャケ買いしたくなるような可愛らしいお酒を見つけました。その名も「森の蜜酒」。2020年話題になったリモート飲み会にも活躍しそうな「見せたくなる」お酒です。

 

森の蜜酒 左からいちご、ゆず、うめ 300ml×3本 2,970円(税込)。絵本の世界に迷い込んだようなデザイン。

 

素敵なラベルとカラフルな色、丁度いいサイズ感に心奪われた取材陣。早速この3つの蜜酒を飲み比べてみました。

 

 

まずはいちご。ほんのり赤いいちご色が目を引きます。凝縮したいちごジャムのような甘い香りがふわり。一口飲むと、しっかりしたいちごの甘みが口の中に広がり、あとから柔らかい酸味が追いかけてきます。

 

 

ゆずは、少しにごりのある柔らかい色が特徴で、柑橘系の香りがとっても爽やか。甘さはすっきりしていて、ゆずの果汁をしっかり感じる涼やかな酸味とほんのりした苦味が印象的。

 

 

最後はうめ。あたたかみのある色合いと、注いだ瞬間立ち上る甘い香りにワクワクします。うめならではのしっかりした酸味のなか、ほんのり甘みが感じられる、深みある味わいが特徴です。

 

果実ならではの甘味や酸味を感じるため、そのままか、ロックで飲むのがオススメ。持ち寄り女子会や、自分へのご褒美に少しずつ大切に飲みたいお酒です。

 

 

毎年、秋から冬は酒造りの季節。今年もまた、年末に向けて新酒の仕込みが始まっています。伝統的な手仕事の文化を間近で体感できる「酒蔵見学」は、まさに大人の社会見学。酒蔵見学のあとで味わうお酒はまた、違った深みが感じられるかも……。

 

今年からは、江戸時代から使われてきた木桶での酒造りにも挑戦するなど、クラシカルな手法を大切に、酒蔵の個性を活かした酒造りに挑み続ける山名酒造。新しい挑戦と古き良き伝統の融合が、これからどんなお酒を造りだすのか、注目が高まります。

 

酒蔵見学について

酒蔵見学は通年受付(要予約)。酒造りの様子を見たい場合は11月から3月がシーズンですが、12月は繁忙期のため見学はお断りしています。上記のような作業の様子を見たい場合は、予約時に時間などをお問い合わせください。

※感染予防対策で試飲を中止している場合があります。

 

また蔵内の状態を良好に保つため、酒蔵見学の際は以下のことにご注意ください。

 

●酒蔵見学に参加される方へのお願い事項●
・納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品、柑橘系の果実や飲み物は前日から控えてください。

・お化粧・整髪料は控えめにしてください。

・香水や香りの強い柔軟剤等はつけないでください。

・風邪を引いている方、体調不良の方のご参加はご遠慮ください。

 

山名酒造株式会社

〒669-4322丹波市市島町上田211

電話:0795-85-0015

営業時間:午前9時 - 午後5時

定休日:年中無休(但し、1月1日・1月2日は休み)

http://www.okutamba.co.jp/

※価格等は取材時の情報です。

 

 

 

 

 

私がレポート

稿
チカコ
女性
30代
関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。
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