工芸の店かぶら

 

丹波近辺の伝統工芸・民芸品を購入できる「工芸の店かぶら」

JR福知山線柏原駅から徒歩3分。観光・まち歩きがてら立ち寄る人も多い「工芸の店かぶら」。丹波布の反物、ストールやバッグ、ポーチなどの小物のほか、丹波市春日町の民芸品である竹かご、丹波篠山市にある丹波焼の工房・丹窓窯の陶品(スリップウェア)、丹後和紙や名塩和紙の販売と、伝統工芸体験のワークショップを行っています。

 

 丹波布を使ったバッグ類

丹波布を手軽にファッションに取り入れられるストール

繊細な竹細工

丹窓窯の陶品(スリップフェア)

 

取り扱い品のほか、丹波布製品・丹波布小物のオーダーメイドも受け付けています。お祝い品、返礼品、記念日のプレゼントなどに利用されています。

 

「工芸の店かぶら」を運営するのは丹波布の技術認定者5名。丹波布が復興し保存会が発足した後、道の駅あおがき内の「丹波布伝承館」で丹波布の技術保存と後継者育成を行っています。「技術認定者」とは丹波布伝承館で「紡ぐ」「染める」「織る」という全ての丹波布の工程について2年間の学びを経て、技術が認められた方のことです。営業日には技術認定者が常駐しているので、いつでも丹波布について詳しいお話を聞くことができます。

 

取材日に出迎えてくれたのは、技術認定者のイラズムス千尋さん。陶芸家のご主人とともに丹波市に移住し、自宅でギャラリーを開いています。より身近に丹波布を感じられるような場所を作れたらと構想していたときに、縁があり2018年に柏原町に「工芸の店かぶら」をオープンしました。

 

「丹波布」は、現在の丹波市青垣町に当たる「丹波国佐治村」で幕末から明治のはじめ頃まで盛んに織られていた平織りの手織り布です。手紡ぎの木綿糸を縦横に用い、絹糸を「つまみ糸」として緯糸に交織にしています。当時は京都周辺で布団、小袖などの形に仕立てられ親しまれたものの、大正時代に一度衰退しました。

 

丹波布の反物。藍と茶、黄を基調に縞柄や格子柄を織り上げる

 

昭和初期、民藝運動を起こした思想家として知られる柳宗悦が、京都の朝市で偶然見つけた縞木綿に強く惹かれ産地を調査したところ、「丹波国佐治村」で織られていた布だと特定されました。その後、昭和20年代に丹波布の再現が行われ、佐治地域に丹波布の保存会が発足。現在丹波布は、国指定選択無形文化財/兵庫県伝統的工芸品に指定されています。

 

職人の手作業による熟練の技が用いられ、代々長い歴史の中を受け継がれてきた伝統工芸品。機械工業では出せない素朴で温かみのある風合いが奥深く、使えば使うほどに味が出てくるのも魅力の一つです。

 

糸紡ぎ、染色、機織り、グッズ作り……時間と気分に合わせて選べるワークショップ

「工芸の店かぶら」では丹波布をもっと楽しめる手仕事ワークショップを開催しています。

お手軽にできるのが「コースター作り」。すでにカットされている丹波布からお好みのものを選び、裏地と合わせて手縫いでチクチク縫い合わせるワークショップです。丹波布の手触りや色味をじっくり見ながら針を動かす、静かで穏やかな時間を過ごせます。

 

手軽なワークショップはもちろん、丹波布の工程である「糸紡ぎ」「染色」「機織り」の本格的なワークショップもあります。SATURDAYTAMBA取材陣は今回、糸紡ぎワークショップに挑戦してみました!

 

綿花を集め、種を取り除いてふわふわの綿にした後、ほぐして繊維を取り出しやすくし(綿打ち)、それを筒状に整形した「じんき」を使って、糸紡ぎを行います。

 

千尋さんの前に置かれている、プラケースの中にあるのが「じんき」

 

まずは、千尋さんにお手本を見せてもらいながら糸紡ぎの仕組みと方法を学びます。

ハンドルの付いた大きな輪を回転させ、糸に「より」をかけています。

実際に糸ができるのは、手前の小さな「つむ」の部分。じんきからスーッと糸が出て来る、その糸の量を左手で調整し、紡がれた糸をつむに巻きつけていきます。

 

糸紡ぎの方法が理解できたところで、千尋さんに隣でアドバイスをもらいながら自分でも挑戦。軽々と糸を紡いでいく千尋さんでしたが、いざ自分でとなると、右手で糸車を回して左手を引く速度を調整する、という左右のバランスをとるのが難しく感じました。そのうちコツを掴むと、どんどん綿から糸が出てくるのが面白くなり、糸紡ぎの世界に心が入り込んでいきます。2時間半の体験時間で、心ゆくまでたっぷり糸紡ぎを楽しめます。

 

紡いだ糸を外すと、上の写真のような可愛らしい形に。紡いだ糸がこの形になるのは「丹波布」ならではで、この糸玉のことを「かぶら玉」といいます。できた「かぶら玉」は持って帰ってオブジェにするもよし、次回まで大切にしておいて、染色や機織りワークショップに使うもよし。本格ワークショップは単発で楽しむこともできますが、続けて利用することで自分だけの作品を作るのも素敵ですね。

 

丹波の伝統工芸を見て、触れて、体験できる場所「工芸の店かぶら」。文化を嗜む大人の休日を是非お楽しみください。

 

Info

工芸の店 かぶら

所在地:兵庫県丹波市柏原町柏原46

電話番号:0795-71-1683

営業日:金・土・日・月

営業時間:10:00~15:30

 

ワークショップ情報

 

【コースターづくり】

時間: 10:30~または13:00~ 1時間程度

基本料金:1,000円(材料費込)

 

【ブックカバーづくり】

時間: 10:30~または13:00~ 1時間半程度

基本料金:3,000円(材料費込)

 

【糸紡ぎ体験】

時間: 10:30~12:30または13:00~15:30

受講料:2,500円(材料費、道具使用料込)

 

【染色体験】

時間 13:00~(糸染めの場合は12:30~

基本料金:2,000円(手ぬぐい一本分。糸染め糸持参の場合は100gまで)

場所:柏原古市場公民館(場所が「かぶら」ではなくなるのでご注意ください)

 

【機織り体験】

時間: 10:00~15:00 のうち2時間まで

受講料:2,800円(20cm×20cm)

 

※ワークショップの価格や時間は取材時の情報に基づきます。

 

 

 

私がレポート

稿
チカコ
女性
30代
関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。
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