代々受け継いだ広大な農地に、田んぼ、畑、牛舎、鶏舎、チーズ工房をつくり、様々な農作物を生産・加工している婦木農場。驚くことに、その全てを家族だけで管理しているという。「自分たちが作る農作物で、家族が豊かな暮らしをすることが農家の醍醐味。豊かさを実感しながら、それをいろんな方に少しずつおすそ分けしているんです」と話す10代目当主の婦木克則さん。食を共にする「家族」で取り組んでいるからこそ、米は減農薬に、野菜は鶏や牛からの有機肥料で・・・と安全性にもこだわる。それを周りの人と共有することが婦木さん一家の一番の喜びだという。「お客さんから『おいしかったよ』という声をダイレクトに聞けるのが嬉しいですね」。

 

 より多くの人に農業の魅力を知ってほしいと、6年前には農地に民宿とカフェを備えた農家体感施設「○(まる)」をオープン。採れたての野菜や卵を使って料理を振る舞い、夜には婦木さん一家も宿泊者と一緒に食卓を囲む。農業のことや子育てのこと、いろんな話に花が咲く。「儲からないでしょ?って聞かれます。でも私たちは、受け継いできた丹波市の良さを生かして、今の時代に合った農業をしたい。このやり方だから様々な人に出会えたし、一度は農業から離れた息子たちも帰ってきました。お金で測れない価値がここにはありますよ」。


春日町で江戸時代から続く農場を受け継いだ克則さん。「今、農村は面白い」というキャッチフレーズを掲げ、奥様の奈保子さんとともに日々農業の可能性を追求している。

 

 

▲ 克則さんは「農場を見学して、野菜を食べてもらい、農家の良さを知ってほしい」と語る。

 

 

▲ 日本各地のチーズを食べ歩き、修業を積んだ「丹波のチーズ王子」こと長男の敬介さん。

 

 

▲ 次男の陽介さんは畑に立つだけでなく、カフェのプロデュースや広報なども行う。

 

 

▲ 野菜は、その季節に採れる8~10種類を詰め合わせて消費者へ届ける。丹波市はもともと有機栽培が盛ん。安心な野菜作りで、消費者との良い関係が続いている。

 

 

▲ ジャージー牛を自家飼料で育てて、毎日朝晩2回、乳を搾る。新鮮な牛乳は、自家培養した乳酸菌を使って工房でチーズに加工する。

 

 

▲ 平飼いで元気に走り回る健康な鶏たち。民宿の宿泊者は、朝に自分たちで産みたての卵をとって卵かけご飯を食べるのだそう。

 

 

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