丹波市春日町にある「国領」という地域は、丹波の赤鬼として知られる武将・赤井直正の弟に当たる赤井幸家が国領城(平地居館)を構えていた場所です。国領城が明智光秀に落された後も、国領地域は瓶割峠かめわりとうげから天橋立に至る道にあり宿場町として栄え、料理旅館のほか、ダンスホールやパチンコ屋などが立ち並んでいたと言います。時代の変遷とともに一つ一つ店じまいとなり、以前の様相とは変わりましたが、この国領地域に新しく純喫茶が生まれました。それが今回ご紹介する「純喫茶 国領」です。

 

 

 

純喫茶国領を営む「市島製パン研究所」オーナー三澤孝夫みさわたかおさんの想い

 

「純喫茶 国領」を営むのは三澤孝夫さん。丹波市市島町の古民家で「市島製パン研究所」を営み、2016年からは飲食店のプロデュースにも取り組んでいます。これまで、ハンバーガー店やパン店、ジェラート店など数多くの人気店を新規開業へとサポートしてきました。

 

(三澤孝夫さん)

 

以前SATURDAY TAMBA「丹波うなぎ探訪」で取り上げた「うなぎ辻判」も国領地域にあります。その「うなぎ辻判」が2020年に業態替えをするときにプロデュースをしたのも三澤さんでした。それをきっかけに、三澤さんは国領という地域に関心をもったといいます。とりわけ気に入ったのがまちの「サイズ感」。宿場町らしく一つ一つの物件が密に建っていて、その多くが店舗つき住宅の間取りになっています。志のある移住者がこの場所に集まり、都会よりもハードル低く物件を借り、ちょうどいいサイズのお店をするというモデルができれば、このまちの可能性が広がる。そう感じた三澤さんは、まず自分でこの場所に店を構えることにしました。

 

 

 

市島製パン研究所は、遊び心がありながらも民家を改修した居心地良い空間、そしてボリュームのあるバーガーメニューなどが話題の人気店です。飲食を楽しみに来られる方が多いのはもちろん、三澤さんという「人」に出会い、話したくてお店を訪れる人も年々増えてきました。しかし市島製パン研究所では、三澤さんはパン職人としての仕事が多く、お客様とゆっくりお話する時間がとりにくかったと言います。カウンター越しに、お客様と話をして、相談にものれるような空間を作りたい。その思いから、国領の店舗を「純喫茶」という形にすることに決めました。

 

 

 

春日町国領で味わう、レトロ懐かしい純喫茶の文化

 

 

「純喫茶 国領」には、レトロな雰囲気を残したカウンター席と、奥の座敷席があります。店内にはレコードプレイヤーがあり、物件に残されていたものや、地域の方から譲り受けたドーナツ盤から流れるアナログな音楽も魅力の一つです。このまちに純喫茶の文化を再現したかったという思いから、メニュー表記は「レーコー(アイスコーヒー)」「ミーコー(ミルクコーヒー)」など、関西の純喫茶で使われていた表現が見られます。

 

 

 

 

日曜日と月曜日は8時から11時までモーニングタイム。トーストやベーグル、パンケーキにサラダとゆで卵、ドリンクがついたモーニングセットも人気です。とりわけ、パン職人が提供するベーグルは店員さんのイチオシ。また、小腹がすいたときやガッツリ食べたいときにも、サンドイッチの他にカレー、ナポリタン、オムライスなどのメニューもあり、ランチタイムも賑わいます。取材時はちょうど喫茶を楽しむのに適した15時頃だったため、これまた人気のカフェメニューを注文してみました。

 

(コーヒー500円(税込)、バスクチーズケーキ500円(税込))

 

オリジナルレシピのバスクチーズケーキは、クリームチーズの量をぐんと増やした、想像以上になめらかで濃厚、贅沢な味わいと食べごたえ。「こんなバスクチーズケーキ食べたことない!」とお客様に驚かれることも多々あるのだとか。一緒に楽しみたいコーヒーは、神戸のJOHNNY COFFEEから豆を仕入れたもので、香り高さと味の深さが特徴です。

 

(チョコレートパフェ 800円(税込))

 

これぞ「純喫茶」!と懐かしい気持ちになりそうなチョコレートパフェは、アイスクリームやバナナがレトロ感を醸し出しています。食べ進めると、自家製のコーヒーゼリーが出てくるのもうれしいポイントです。パフェを目で楽しむことができる、レトロな器も見ていて幸せな気持ちになれます。

 

「純喫茶 国領」からはじまる、このまちの可能性

 

 

 

「純喫茶 国領」のオープン日は、土、日、月曜日。これまでお店がなくなっていく一方だったこの地域に、暖簾がかかり明かりが灯る場所ができ、ドライバーの目線は釘付け、地元の話題も沸騰中です。市島製パン研究所でここの存在を知ってくる人もいますが、何も知らずに入ってきて三澤さんがカウンター内にいることに驚くという人もいます。

 

お店のすぐ近くには、餃子のお店「国衙(こくが)」も近日オープン予定。その他、新しい店舗の改装もはじまっており、国領というまち全体がこれから楽しくなりそうな予感で溢れています。純喫茶文化をはじめ、地域にねづいてきた、人が笑顔になる文化を継承していきたい。モデルケースを作り、自分と同じようにここでお店を始めてくれる人にきてほしい。さらに、このまちをもっと楽しくするために、三澤さんは地元の住民の方にも一緒にやっていこうと呼びかけています。三澤さんの思い描く、懐かしくも新しい「国領」の姿が見られるのも、そう遠くないことかもしれません。

 

(取材時にも、次の計画を話し合う姿が)

 

 (”純喫茶"ですがアルコールも楽しめます)

 

純喫茶 国領

所在地: 〒669-4273 兵庫県丹波市春日町国領1135

営業時間: 土曜日 17:00~21:00 日曜日8:00~21:00 月曜日 8:00~18:00

モーニング:8:00~11:00

電話番号: 0795-71-1686

@junkissa_kokuryo

私がレポート

稿
あずさ
女性
1980年代
丹波に引っ越して10年超、地元の魅力に興味津々な日々を送るアラフォー。新たな発見と体験が大好き。地元のグルメ、おいしい料理や隠れた名店を見つけることが楽しみで、アクティブな趣味にも挑戦したいと妄想中。
地元のローカルな魅力や美味しい食べ物、多彩な楽しみ方をどんどん発信していきます!
一覧へ戻る

他の記事をチェック!