「恐竜博物館」と聞いて、みなさんが一番初めに思い浮かべる博物館はどこですか?
日本で有名な恐竜博物館としては、「福井県立恐竜博物館」を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は丹波市にも知る人ぞ知る「恐竜博物館」があります。
丹波市で2006年に新種の恐竜(タンバティタニス・アミキティアエ:通称「丹波竜」)が発見されたことをきっかけに開館した、『丹波竜化石工房 ちーたんの館』。
丹波市が誇る恐竜博物館『丹波竜化石工房 ちーたんの館』が、2025年7月12日(土曜日)にリニューアルオープンし、地域のシンボルとして、また日本でも指折りの恐竜博物館として『たんば恐竜博物館』に生まれ変わりました。
今回は、リニューアルオープン当日に取材した『たんば恐竜博物館』をご紹介します。
丹波市山南町谷川にある「たんば恐竜博物館」は、遠くからでもよく目立つ建物から飛び出す丹波竜の首が特徴です。建物の横の壁からは尻尾も飛び出しており、丹波竜を下から見上げた時の感覚を体感できるユニークな外観となっています。
ここで、2025年7月12日にリニューアルオープン式典が行われました。
夏らしい快晴の中、午前10時からの式典でしたが、午前9時半の時点でたくさんの人が集まっていました。
式典には、丹波市長をはじめ、「恐竜学研究環境整備促進議員連盟」会長や「兵庫県立人と自然の博物館」館長、地域自治会長など様々な方から多くの祝辞をいただき、にぎやかに執り行われました。そして最後に、たんば恐竜博物館入口前で華々しくテープカットが行われました。
テープカットと同時に、式典に集まった方々よりあたたかな拍手が巻き起こり、オープンに向けての熱い期待が伝わってくるようでした。
「たんば恐竜博物館」一般公開に際して、今回のリニューアルオープン式典に参加されていた丹波市観光アンバサダーの俳優・新木宏典(あらきひろふみ)さんに、たんば恐竜博物館に対する印象などを聞かせていただきました。
Q 丹波竜とのエピソードは?
A 僕が地元にいた時にはまだ発見されてなくて、丹波市に帰ってきた時に初めて聞いて「新種の恐竜ってまだ見つかるものなの?」って思いました。その頃に「おばあちゃんの里」に丹波竜のちーたんの看板が置いてあって、「これが丹波竜をモチーフにしたキャラクターか。イイじゃん!」と思って一緒に写真を撮りました。僕は、ちーたんの馴染みやすいカラーと、よく見ると地層柄になっているというデザインバランスがすごいなと思っていて、個人的にすごく好きなキャラクターなので、出会うと思わず撮影しちゃいますね。
Q リニューアルオープンするたんば恐竜博物館の楽しみなところは?
A 展示の範囲が広がり、見られるもの・体験できるものが多くなっているのかなというところが楽しみです。
以前は「ちーたんの館」という名称だったので、展示されている恐竜は1種類しかいないと思っていた人がいると思います。それが、「たんば恐竜博物館」という名前でリニューアルされるので、「ちーたん」や「丹波竜」だけを知っているような、あまり恐竜に詳しくない人からすると、博物館に入った瞬間びっくりすると思います。僕自身も、恐らく知らない恐竜が展示されていると思うので、これから見られると思うと楽しみです。
(リニューアルオープン当日、本取材後、実際に館内の見学を行いました)
Q 今後、たんば恐竜博物館で開催してほしいイベント等はありますか?
A “博物館が開催するイベント”ではないですが、「発見」というイベントが起き続けて欲しいと思いますね。「次はこんなものが見つかりました」という情報が、どこよりも先にこの博物館で得られる環境が整っていれば、すごく身近に感じることができると思います。
僕は、服が好きなのでアパレルショップによく行きますが、行ったときに「新たな衣服」との出会いを楽しむようにしています。常に情報が更新されていることで、一度行ったから十分というわけではなく、訪れたタイミングで何に出会えるか、どこが変わっているかという楽しみがあるからです。
今回は、リニューアルオープンということで大きく展示内容が更新されましたが、常に新しい発見があり展示内容が更新されていくのであれば、それは多くの人の注目を集める大きなイベントになると思います。
Q 新木さんが新種の恐竜を発見したら、どんな名前をつけたいですか?
A もし、今日見つけたら「タンキョウハク」(たんば恐竜博物館)とつけたいですね。
いよいよ、リニューアル後のたんば恐竜博物館内部のお披露目です。
博物館内部は、小さい子どもから若い女性、子供連れのファミリー層、お年寄りまで様々な年齢の方でにぎわっており、新しくなった展示品・標本を楽しんでいました。
たんば恐竜博物館は、5つのゾーンに分かれており、地層や地質、丹波竜、恐竜の進化などをそれぞれのゾーンで見て、触れて、間近で感じながら学ぶことができます。
化石標本の展示数も、以前の約150点から約300点に倍増しており、さらに「触れる」展示物が増えたので、どんな人でも、より楽しめるようになりました。
まず、入ってすぐの1つ目のゾーンでは、壁から突き出た大きな丹波竜と、丹波竜の化石が発見された高さ3mの地層の壁が現れます。
新木さんも、とても興味深そうに丹波市教育普及専門員の話を聞かれていました。
迫力ある丹波竜はもちろんのこと、迫力ある地層の壁には、発見された際の丹波竜の化石も再現されているので、ぜひ探して丹波竜を発見した気分を感じてみてください。
次に2つ目のゾーンでは、丹波市内6地域(春日町、市島町、柏原町、氷上町、青垣町、山南町)の特色ある地質の展示や、地層や岩石が出来上がるまでを実際に岩石などを触りながら学習することができます。同じ丹波市でも、元々海だった3億年前の地層や、火山活動によってできた8,000万年前の地層があり、日頃歩いている地面の下にそれほどの個性があるなんて初めて知りました。
丹波竜が発見された地層から、丹波竜が生息した時代は、最も多くの種類の恐竜が繁栄したと考えられる白亜紀であることが分かっています。白亜紀は、今から1億4,300万年前から6,600万年前までのおよそ7,700万年の期間のことで、最も多くの種類の恐竜が繁栄した時代だと考えられているそうで、恐竜が生存していた最後の時代でもあります。
大昔すぎて想像もできませんが、丹波竜が白亜紀当時の丹波市を歩いていたのかと思うとちょっとワクワクしますね。
3つ目のゾーンには、このたんば恐竜博物館の目玉となる、全長約15メートルの丹波竜の全身骨格が展示されています。丹波竜の全身骨格は、世界でここ丹波市でしか見ることのできません。そんな貴重な展示が丹波市で見られるなんて、恐竜好きでなくても一度は見て見たくなります。
全長15メートルの大きさに圧倒されてしまいますが、実は丹波竜が属する竜脚類(りゅうきゃくるい。長い首と尾が特徴の植物食恐竜)の中では小型の部類に入るのだとか。この大きさで小型って、他の恐竜はどれほど大きいのか想像もできません。
このゾーンでは、他にも篠山層群で発見された恐竜の卵化石や、丹波竜の化石が地層から発見された状態を表す産状レプリカなどを見ることができます。
4つ目のゾーンには、生命が誕生してから現在に生きる動物までの進化を辿る展示となっており、爬虫類や鳥類、哺乳類の進化を見ることができます。
生命の樹という展示では、生き物の進化の道程が描かれており、地球上のすべての生き物がたった一つの共通祖先から生まれ、時間とともに様々な姿かたちへ変化し、新たな種を生んでいることが分かります。現在に至るまでの途方もない時間の中で、絶滅した生き物もいれば、現在も生きている生き物がいるのってすごいと思いませんか。
たった一つの共通先祖が何なのかは、「たんば恐竜博物館」で確かめてみてください。
また、人類の進化の過程を辿ってみるのも楽しいかもしれませんね。
恐竜の進化では、竜脚類、獣脚類(じゅうきゃくるい。主に二足歩行する恐竜)、角竜類(つのりゅうるい。後頭部の襟飾りや顔の角が特徴の恐竜)などの全身骨格や頭骨が展示されています。獣脚類は、映画などでもよく見る狂暴なイメージのティラノサウルス、角竜類は、少しおとなしいイメージのあるトリケラトプスが属しています。
これもまた大きさに圧倒されます。
これらの骨格標本は、ショーケースに入っていない分、その大きさを非常に近い距離で感じることができます。やっぱりたくさんの頭骨が並ぶと迫力が段違いです。ショーケースがないので、肉食恐竜は歯が鋭く尖っていて、植物食恐竜は歯が平たんな様子など、恐竜の歯の一本一本まで間近で見ることができるので、食性による骨や歯の違いなどを詳細に観察することができます。恐竜好きには、たまらない展示ですよね。
また、通路は広くすれ違いができる幅があるので、迫力あるトリケラトプスの頭骨を背景にしたり、ティラノサウルスのかっこいい大あごのスキマから顔をのぞかせるような映え写真など、自分好みの角度で撮ることができます。
最後の5つ目のゾーンには、恐竜に関する多数の図鑑や専門書が置いてあり、自由に恐竜や地質等について学習することができます。ここには机や椅子も設置されているので、展示を見る中で気になったことがあればじっくり調べることもできます。
展示を見終わる頃には、すっかり恐竜に興味が湧いていると思うので、恐竜をもっと知りたくなっているはずです。その知的好奇心は、このコーナーが満たしてくれると思います。
出口付近にはお土産コーナーがあり、クッキーやケーキといったお菓子だけでなく、ちーたんのエコバッグやプラモデルなど、「たんば恐竜博物館」ならではのグッズが多数取り揃えられていますので、来館の記念に、ぜひお買い求めください。
“丹波”で発見された恐竜を見て・触って、大昔に同じ丹波の大地を生きた恐竜たちを感じながら、古代のロマンに浸ってみてはいかがでしょうか。
「たんば恐竜博物館」に、ぜひ、家族やお友達と遊びにきてください。
【たんば恐竜博物館】
住所:兵庫県丹波市山南町谷川1110番地(丹波市役所山南支所横)
電話番号:0795-77-1887
開館時間:10:00~16:00(※4/1~10//31までは10:00~17:00)
休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌平日)
入館料:大人(高校生以上):300円
小中学生:100円
※兵庫県内の小中学生は、ココロンカードの提示で入館料が無料
駐車場:無料駐車場あり
ホームページ:https://www.tambaryu.com/TDFL/index.html
SNS(X):@Tambaryu0807(https://x.com/tambaryu0807)
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- まる
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- 1980年代
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