冬に食べたいご馳走として真っ先に挙げられるのが「カニ」。丹波市でも田舎の風情を感じながら、純和風の老舗らしい趣のある空間でゆったりとカニを楽しめるスポットがあります。北近畿豊岡自動車道青垣インターから車で4分、青垣町で宿場町の風情が残る佐治のまちなかにある「黒井屋」です。外観は老舗の仕出し屋で、歴史を感じさせる建物ですが、ひとたび中に入ると、木造建築の風情漂う空間で奥へと案内されます。細い通路を通り抜けると目の前に階段があり、その先は旅館となっています。

 

 

 

朝の連続テレビ小説「らんまん」の主役モデルとなった植物学者、牧野富太郎氏が黒井屋に宿泊したとされる文献があります。今回は牧野富太郎氏が泊まったとされる部屋で、冬季限定メニューのカニすきをいただきました。

 

歴史の情緒感じる立地、名だたる芸術家の作品に囲まれた空間

 

 

黒井屋は創業時期の詳細が残されておらず、正確なところはわかっていませんが、黒井城のお殿様が泊まられたことが名前の由来になっていることや、明治の掛け軸や書道額縁、お皿が残っていることから江戸、明治からあったことが予想されます。

 

 

 

部屋の中には、橋本関雪や長井一禾、富岡鉄斎、小田海僊、山本梅逸など、歴史上名だたる芸術家の作品が飾られており、一部屋一部屋デザインの違う古い欄間などは、創業当初のものがそのまま残されています。今では珍しい、職人技の建具類も部屋のあちこちに見られるなど、情緒ある空間です。

 

 

お部屋は4部屋ありますが、座敷をつなげると40畳の大部屋にできるので、宴会や学生さんの合宿にも利用できます。

 

 

お部屋の窓からは石垣が見え、赤穂浪士の大石内蔵助の妻、大石りくが討ち入り前に離縁されて、京都から出石に戻るときに通ったとされる道があるなど、歴史の情緒に触れながらお食事・宿泊をすることができます。

 

 

 

黒井屋に来られるお客様は市内の方はもちろん、青垣に遊びに来る人のほか、大学生のワークキャンプの宿泊先になるなど、幅広く利用されています。

黒井屋に来られたお客さまには、店主の臼井さんも大好きなパラグライダーを、アクティビティとしておススメしているそうです。

 

(部屋にはフリーWi-Fiがあります)

 

黒井屋冬季限定メニューカニすきセット 実食レポート

 

黒井屋の冬季限定人気メニューのカニすきセット、今回は1人6,500円(税別)のコースを3人でいただきました。コースの内容は、つきだし、カニすき、焼きがに、カニの天ぷら1本、雑炊です。

 

(写真は3人前です)

 

まずはしゃぶしゃぶからいただきます。部屋中に香る鍋のお出汁に数回しゃぶしゃぶし、一気に口に運びました。柔らかく、うま味がぎゅっと詰まったカニの身は絶品です。

 

 

次に、店主が熱々の揚げたてのカニの天ぷらを持ってきてくださいました。大きいカニの天ぷらに一同テンションが上がります。サクサクの衣に中はふわふわ。カニの身がぎっしりと詰まって贅沢な一品でした。

 

 

鍋と天ぷらの次は、浅めの鉄器の鍋にカニを並べて蒸し焼きにした、焼きガニをいただきました。身が白くなったら食べごろと教えていただき、ぷりっと殻から盛り上がったカニの身をいただきます。カニの身が甘く、香ばしさが口の中いっぱいに広がり、こちらも絶品でした。

 

 

 

 

そして締めの雑炊。しゃぶしゃぶにしたカニの出汁がいっぱいのお鍋をつかって、ご飯を入れ、少し煮立てて溶き卵を入れ、蓋をして蒸らし、ねぎと海苔を盛りつけます。取材チームは雑炊を作る前に、カニを無心で全て食べてしまいましたが、雑炊用にカニの身を少し取っておいても良さそう。カニの味が雑炊に染み渡り、おなかいっぱいの胃袋でもぺろりと食べられました。

 

 

女性3人でいただきましたが、カニもお野菜も沢山あり、おなかも一杯になりました。このボリュームでこのお値段、とても満足度の高いお料理でした。

時折、店主が料理の食べ方のアドバイスや説明に来られますが、ほどよい距離でもてなしていただき、プライベート感ある空間でゆっくりとカニすきを味わうことができました。

 

 

丹波市内であれば、お食事と同じお値段で、カニすきセットを配達していただけます。その際は鍋もコンロもお皿もお箸もすべて黒井屋さんが用意して届けてくれるとのことです。さらに青垣町内であれば、カニの天ぷらを店主の臼井さんの方で揚げていただき、適切な時間に再配達していただけるという事です。また、冷凍のカニセットは全国津々浦々に配送可能です。

 

お手軽に食べられるメニュー、ハレの日に食べるおせち

 

佐治では月に一度第4日曜日に、「月に一回、佐治の町でゆっくり過ごそう」をテーマに佐治の町全体が一体となり、「サジイチ」が開催されます。黒井屋さんではワンコイン(500円)ランチも提供されており、多い時で100食以上出るという人気メニューとなっています。

 

「サジイチ」が始まったきっかけは黒井屋付近にあるコミュニティスペース「衣川會館」で開かれている「キヌイチ」です。キヌイチでは話題のパンを購入するために遠方から沢山の人が訪れるのですが、わざわざ青垣まできてパンだけを買って帰る方が多く、せっかくの機会に佐治の町をもっと楽しんでもらいたいと、その日に合わせた商品の提供を店主の臼井さんが呼びかけることで始まりました。今では青垣にとって、なくてはならないイベントとなり、遠方から楽しみに来る方も多く、丹波市内外の方にも定着しています。

 

(キヌイチ開催時の衣川會館)

 

2020年の春から始まった「サジイチ」は佐治の町中のお店がお得なメニューを提供する月イチのイベントです。ランチ、スイーツ、リラクゼーション、食品販売など参加店舗のメニューが多彩、月によって参加店舗やメニューなども変わります。中でも黒井屋は先述でも述べた通りの豪華メニューで参加します。サジイチの情報はFacebookページの「佐治倶楽部」からチェックできます。

https://www.facebook.com/%E4%BD%90%E6%B2%BB%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8-101402774776848 

 

さらに黒井屋さんでは年末年始におせちのご提供もされています。何台も続く老舗旅館の至高の味がつまったおせち料理は、12月25日まで承り期間があり、丹波市内であれば12月31日に配達。遠方の場合はご相談ください。

 

(5名用20,000円(税別)、タイのお頭つき(30㎝程)6,000円(税抜))

 

盛大なお祝いや贅沢な食事、気軽に泊まれる宿泊スポット、イベント限定のお得なランチなど色々楽しめる黒井屋さん。店主の臼井さんの人柄もお話し上手で、取材中は冗談を交えながらお茶目な一面も見せていただきました。奥さんも到着するなり、気さくに声を掛けていただき、ご夫婦の人柄の良さが垣間見れました。先祖代々受け継がれてきた老舗ならではの雰囲気と内装から味わいまで心温まる接客を後世に残していきたいものです。なお、スタッフも常時募集とのことです。

歴史に触れながら、情緒あふれるお部屋でカニすきをいただける。これからの季節、女子会や忘年会などにもぜひ、『黒井屋』を冬の丹波市観光の1ページにご利用ください

 

黒井屋

所在地: 兵庫県丹波市青垣町佐治597

TEL:0795(87)0013

090(5975)1755

F A X :0795(87)1147

営業時間 11:30~22:00

定休日 不定休

Instagram https://www.instagram.com/kuroiya.tanba/

 

私がレポート

稿
あずさ
女性
1980年代
丹波に引っ越して10年超、地元の魅力に興味津々な日々を送るアラフォー。新たな発見と体験が大好き。地元のグルメ、おいしい料理や隠れた名店を見つけることが楽しみで、アクティブな趣味にも挑戦したいと妄想中。
地元のローカルな魅力や美味しい食べ物、多彩な楽しみ方をどんどん発信していきます!
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