丹波市の中でも特に農業が盛んで、「有機の里いちじま」として全国を索引する地域である市島町。
オーガニック野菜の直売所「いちじま丹波太郎」や全日制の農業学校「丹波市立農-みのり-の学校」もこの地域にあります。
今回はそんな丹波市市島町にある丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”をご紹介します。
丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”のほとんどは荻野拓司(ひろし)さんたちの手作りです。
農協の兵庫県中央会にお勤めされていた荻野さんは、丹波に帰ってくる際、自分の居場所を作ろうと1年半かけてレンガハウスを作りました。荻野さんの求める農業は、「色々な意味合いを持ち、広がりのある農業」です。
生産から加工、販売の6次化産業だけでなく、里山での暮らしや季節を感じる飲食や体験も含めて、10次化産業と名付け、地域の農家さんや子供たちも一緒に様々な楽しみがある施設が今もなお増え続けています。
まるで農と自然のテーマパーク。丹波の自然を満喫
施設の中心にあるのが1番最初に作られた赤れんがハウス。
荻野さんがお勤めしながらもコツコツとレンガを積み上げて作った丹波いちじまふぁーむのはじまりの拠点です。
中に入ると囲炉裏や薪ストーブの香りが温かみを感じさせてくれます。食事の提供もここで。
取材時現在は「丹波大納言小豆ぜんざいフェア」の期間中でよもぎ餅ぜんざいもお楽しみいただけます。
赤れんがハウスの隣には、やはり手作りの宿泊用のお部屋があります。
広々とした空間そして、壁には「上を向こう」のメッセージを込めた展示物。
そして外には、酒樽を利用したバレルサウナとよもぎ風呂。
里山が一望できる休憩場所も手作りで、いたる所に丹波を楽しんでもらうためのこだわりが見られます。
施設内の森の中には、静かな森の小屋、そしてツリーハウス。
BBQをしたり、流しそうめんをしたり、森の中を思いっきり満喫できます。
宿泊は森の中で小鳥のさえずりと共に目覚める「森の小屋」にも泊まれます。
ぶどうとよもぎのハーブ園には、天空ビューの「パオハウス」
そして、使わなくなったハウスを利用した「田園の食卓」では、音楽会や映画鑑賞会に地元の人たちが集まります。
薪のストックヤードも全て手作り。
ここでコーヒーを飲めたら楽しいかな。ここにこんなものも欲しいなと、思いつくたびに新しいものが作られていき、まるで完成のないサクラダファミリアのよう。
思い出に残る体験型農業
丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”に来られるリピーターの皆さんは、自然の中での休暇や家族旅行を四季折々体験される方も多いです。また、旅行サイトなどから、農業体験を見つけて来る方もたくさんいます。
春には、野山へ行き、山菜を自分で採って、天ぷらにして食べます。
荻野さんが手作りの図鑑を作り、生えている野草の食べられる時期や生えている場所などを身を持って体感します。
夏には、自然の渓流で水遊び。森の中の渓流にはサワガニがいたり水も冷たく暑い中で涼をとります。自分で切った竹で流しそうめんをしたり、自然の中でのBBQは夏休みの最高の思い出です。
秋には、美味しいものがたくさん実ります。黒豆の収穫体験やさつまいも掘り。そして子供たちに大人気なのが焚き火をしながらの焼き芋。
冬には、加工品を作ります。お味噌に玄米もち。そして、この時期ならではの丹波大納言小豆ぜんざいフェア。よもぎの入った玄米のお餅は普通のお餅と違い、粒が残り箸でも切れるお餅です。
観てまわるだけではない記憶に残る体験型の観光は、都会の子どもたちや家族連れに大人気です。
田からの宝「タカラ農産品」
畑から採れたものを使って作る米粉のピザも人気です。
お手製のピザ窯は、赤れんがハウスの両脇にあり、焼きたてのピザが楽しめます。
「田から」の「宝」を活かしたタカラ農産品の販売も行っています。
生で食べても美味しいブドウをジャムなどにしたり、黒豆のお味噌など、無駄なく加工品としてタカラを広げています。
無農薬でどうしたら上手く栽培できるか、除草の方法なども色々なスタイルを試しています。
今年はコメ不足や暑さによる農産物の不作が著しくありました。
近年の天候はとても不安定で、食糧の確保が課題になることは明らかです。
そんな中で、地元の農家さんたちも多く集い、都会と田舎をつなぐコミュニティ農園としての丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”は、これからますます重要な場所となっていくことでしょう。
「皆さんが来てくれて、『ありがとう』と言って帰ってくれる。こちらも『ありがとう』と言ってまた来てもらう。こんなに幸せなことはないですね。」とワクワクした顔をされる荻野さん。丹波の自然を体いっぱいに体感し、美味しいものを食べ、都会の喧騒を離れて自然の中でのひとときを過ごせる「丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”」にぜひお越しください。
丹波いちじまふぁーむ”奥丹波の森”
兵庫県丹波市市島町北奥160
TEL: 0795-85-0448
- 投稿者
- ほたる
- 性別
- 女性
- 年代
- 1980年代
- コメント
- 県外から丹波市に移住、素敵な人達との出会いに心躍る日々。食べ歩き、文化体験、アウトドアなど、浅く広く興味があり、「とりあえずやってみる」がモットー。体験してみて感じた等身大の感想をレポートにしてお届け中。