歴史と流行の融合で地元に愛される創作和菓子店「御菓子司藤屋」

小学校の近くに、地元の人々に長く愛されている老舗和菓子店がありました。

 

御菓子司藤屋は昭和25年創業。2代目から和菓子専門店となり、現在は3代目の後藤さんが地元の特産品を取り入れた創作和菓子を次々と生み出しています。

 
▼店主の後藤さん


和菓子を身近に感じてもらえるように尽力


最近は、和菓子やあんこが食べられない人が増えたと耳にすることがあります。筆者もあずき餡が食べられないのですが、こちらのお店では、そんな私でも食べることが出来る、洋菓子に近い焼菓子やフルーツ大福といった、巷で人気の果物スイーツを取り入れられていて、とても驚きました。

 

後藤さんは、コロナ禍になる前までは、小学校やママさんサークルで和菓子教室を開催されていました。そこで参加した子どもたちから「美味しい」「これなら食べられる」と好評な反応が返ってくると、嬉しい反面、和菓子店と聞くと、大量生産で販売されているお菓子とは違い、手間暇かけて作られている為、高級で敷居が高くて足を運びにくいイメージを持たれているのではないかと感じたそうです。

そこで、後藤さんは様々な商品開発に尽力します。今、人気のフルーツ大福は、常日頃お店に足を運んでくれるお客様に、季節の果物を楽しんでもらえるようにと考案されました。夏場は果物の種類も豊富。大福に包んで美味しい果物を、後藤さんが試行錯誤して選んでいるそうです。中身の果物は旬のものなので、お店に並ぶ大福で季節を感じられるのも楽しいですね。

 

店頭では冷蔵・冷凍の状態で販売されています。冷凍の場合、10分~15分おいた半解凍が一番美味しい状態。夏は白桃・葡萄が人気だそうです。ブルーベリーやカフェオレといった生クリーム大福もあり、どれにしようか悩みます。

▼冷蔵販売の大福はすぐに食べることが可能です

 

溶けても安心なアイス


もうひとつ、フルーツ大福のように季節を感じられる商品が「くずもちアイス」です。
他の和菓子屋さんでもくずもちアイスを見かけますが、こちらのくずもちアイスはミルクベースで、他店とは一線を画しています。氷上町の丹波乳業の牛乳と丹波の特産品の果物を組み合わせた、藤屋でしか食べられないくずもちアイスです。

 

くずもちアイスのいいところは、溶けても安心なこと。アイスが溶けるとくずもちになるので、食べるのがゆっくりの小さなお子さんでも、ポタポタこぼさずに食べられます。また、くずもちなので、普通のアイスよりは食べ応えがあり、腹持ちするアイスになっています。カルピス味や丹波茶といった、期間限定の商品もあり、どんな味が楽しめるか足を運ぶ楽しみになりそうです。

 


バリエーション豊富な和菓子


店頭に並ぶ和菓子の紹介もしていただきました。

まず、手土産や贈答で一番人気なのが「きんかんぽう」。きんかんの甘露煮と白あんをパイ生地で包んだパイ饅頭です。なぜ、丹波で「きんかん」なのかというと、近くにある薬草薬樹公園に薬草風呂が出来る際、先代が公園の薬草薬樹としてあるきんかんからイメージし創作されたお菓子だそうです。

 

 

北海道小豆がたっぷり入った「栗最中」。先代から販売されている人気商品です。丹波は栗の名産地だから栗最中なのかと思いきや、石龕寺で足利氏が残した栗にまつわるエピソードになぞらえて作られた商品なんだそうです。

 


丹波栗を使った商品をお買い求めの方には「カステラロール丹秋」がおすすめです。
元々は一本売りと二分の一サイズのロールケーキ風和菓子でしたが、自分用に食べたいというお客様の要望にお応えして一切れサイズの販売も始めたそうです。発売当初は丹波栗が旬のシーズンのみの販売でしたが、人気商品になり、年間で必要な丹波栗を確保できるようになったので、通年購入できる商品になりました。

 



こちらは丹波大納言の餡を楽しめる最中です。食べる直前に自分で最中に餡をはさむことが出来るので最中のパリパリ感を楽しめる商品になっています。




こちらの「丹波戦国ものがたり」は大河ドラマ「麒麟がくる」がきっかけで創作されたお饅頭だそうです。赤は丹波大納言が使用されており、白は丹波白雪大納言が使用されています。

 

 

▼取材中、工場内で焼き立てのお饅頭を見ることができました


洋菓子風のお菓子が好きな方におすすめなのが、丹波産のブルーベリー、イチゴをつかった蒸しカステラの「丹波べりぃ」とブルーベリージャム・栗ジャムとスライスした渋皮栗をホイル焼きにした「丹波まごころ」です。どちらも後藤さんが考案した丹波の名産を使った商品です。

 

 

 
上生菓子は見て楽しく食べておいしく


最近ではあんに求肥をまぜて作られている練り切りも人気だそうです。その理由は、見た目にも楽しい様々なデザインや形が豊富だから。練り切りはシーズンごとにテーマにそったデザインがSNSや店頭で紹介され、4つセットの予約販売をされているそうです。今回は、過去の作品を拝見させていただきました。

▼クリスマスセット

 

形がかわいいだけではなく、中の餡も例えばミルク、レモン、イチゴ、栗という風に味も色々変えているそうです。目で見て楽しんで味わって楽しむ、2度おいしい和菓子になっています。

 

 

さらに、この練り切りは別途オーダーメイドも可能だそうです。特殊なものは10日前から要相談になりますが、例えば写真にあるような似顔絵風の練り切りを蒸しカステラで作られた和菓子ケーキのデコレーションにすることも可能で、和菓子が好きな人や、おじいちゃんおばあちゃんへのお誕生日やお祝い事に人気なんだそうです。練り切りの賞味期限は3日。いつもと違うプレゼントをしたい方は、予定を逆算して早めにお店に相談することをおすすめします。

▼還暦祝いの和菓子ケーキ

 

他にも、お店ではお正月はお餅、満一歳を祝う『誕生餅』、お祝い事の『お赤飯』、『正油おこわ』などのご注文も可能です。急な来客の手土産にも頼れる町の和菓子屋さん。店主の後藤さんはこれからも地域の人に和菓子に親しんでもらうと同時に、遠方から来る人へは和菓子を通じて丹波の魅力を伝えていきたいと語ります。

 

 

季節は間もなく秋を向かえます。紅葉で有名な石龕寺を訪れる際、行楽のお供に藤屋の和菓子はいかがでしょうか。

▼筆者もたくさんお土産に買って帰りました♪

 

御菓子司 藤屋

名称  「御菓子司 藤屋」
所在地  兵庫県丹波市山南町井原411
営業時間 8:00~19:00
定休日  毎週 火曜日
Facebook:https://www.facebook.com/wagasi2483/
Instagram:https://www.instagram.com/fj__no.510/

私がレポート

稿
MATY
1980年代
自ら取材やレポートを行い、一次情報の記事を大事にしているフリーランスのライター。高校時代から趣味でホームページを開設。発信で世界と繋がる魅力にハマり、以降も趣味が出来るごとにブログを綴る。動物看護士、大手通販会社勤務、全国の百貨店を飛び回る催事販売員を経て2019年独立。趣味は社会人サッカーリーグの魅力を発信すること。ドリカムを崇拝しているアラフォー。
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