古くは万葉集に「石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ」と詠まれるほど、日本の食文化において親しまれ続けてきたうなぎ。疲労回復を促すと言われるビタミンB1を始め、ビタミン類やミネラルを多く含み、夏バテ予防に食べておきたいという方も多いのではないでしょうか。また、うなぎは比較的低カロリーでコラーゲンもたっぷり。美容と健康が気になる女性に再注目されている食材でもあります。
ここでは、美味しいうなぎが食べられる丹波市内のお店を3店ご紹介。丹波のうなぎでこの夏を元気に乗り越えましょう!
外カリ中フワの食感に200年以上伝わるタレ!リピート必至のうなぎ専門店「うなぎ辻判」
舞鶴若狭自動車道春日ICから車で10分ほどのところにある「うなぎ辻判」は、その名の通り丹波市唯一のうなぎ専門店です。もともとは江戸末期から200年以上続く割烹で、地域の人の宴会や歓送迎会などによく利用される会席料理のお店でした。2020年、コロナ禍による自粛の影響を受け、思い切って業態変換。長年会席料理の締めに出し、お客様から評判が良かったうなぎの小丼に着目し、2021年7月うなぎ専門店として再スタートしました。
使用するうなぎは、風味の豊かさに定評がある静岡県浜名湖産。五代目料理長を務める上田元志さんが丁寧にさばいて串を刺し、炭火でじっくりと焼き上げます。炭火をおこすのに30分以上かかるので、事前のご予約をお願いしています。
炭火の扱いには技術と綿密な調整が必要ですが、遠赤外線でじっくり焼き上げることで、外はカリッと香ばしく、中はふんわりと。食べたお客様から「こんなに美味しいのは初めて!」と太鼓判を押されるほどの食感に仕上がります。うなぎ専門店としてスタートしてからは地元だけでなく、京阪神を中心とした遠方からのお客様も増え、遠方から毎月食べに来るリピーターもいるなど、根強いファンを増やし続けています。
焼かれたうなぎにかけられるのは、創業202年ずっと継ぎ足し続けてきた秘伝のタレ!
このようにタレ鍋の上でかけるので、うなぎの旨みがタレの中に入り、毎日毎日、より旨味あるタレに進化し続けています。今日より明日、一ヶ月後、二ヶ月後はさらに美味しいかも…と思うと、リピートしちゃう気持ちもわかりますね。
さて、今回は繊細な技術と秘伝の味付けで焼き上げられたうなぎを、うな重とひつまぶしにしていただきます!
実食は、趣ある和室の個室で。プライバシーもコロナ対策もバッチリ。うなぎ女子会に利用されるお客様も多くいらっしゃいます。
(うな重一尾・吸い物、香の物つき 税込み4,620円)
こちらがうな重(一尾)。お重の中にぎっしり、いい色に焼き上げられたうなぎが敷き詰められています!お漬物は奈良漬のほか、柴漬け、べったらなどの3種類。色んな味の組み合わせを楽しめるのも嬉しいポイント。
ふんわり焼き上げられたうなぎは、お箸ですっと切ることができ、食べやすいひとくちサイズに。口にした瞬間、炭火の香ばしさが口の中に広がり、甘辛たれと絶妙なハーモニーを奏でます。「これが、炭火焼き!」と納得してしまうこと請け合いです。
三種のお漬物のほか、座席に添えられている山椒も大阪の「やまつ辻田」から取り寄せた朝倉山椒の粉と練り山椒の2種類。とても香り高く、うなぎの味を引き立ててくれます。
こちらはひつまぶし。
小さめに刻まれたうなぎが丼にのせられています。四等分にして、一膳目はそのまま、二膳目は薬味をかけて、三膳目は薬味+おだし、最後に自分の好みの食べ方でいただきます。
(ひつまぶし 税込み4,840円)
ひつまぶしのおだしは、会席料理をしていたときにお客様から特に好評だったすまし汁をベースに。料亭ならではの上品さがあふれるおだしで、薬味との相性も抜群。ちなみに取材者のお気に入りは薬味+おだしでした。
個室でゆったりいただく、200年を超える伝統の味。うなぎ専門店ならではの至高の味をお楽しみください。
【うなぎ辻判】
〒669-4273 兵庫県丹波市春日町国領 1131
電話:0795-75-0029
定休日:月曜日・火曜日(祝日は営業)
営業時間:11:00~15:00、 17:00~21:00
要予約
https://www.instagram.com/unagi_tsujihan/
※若女将の裕美(ゆみ)さんは、FM80.5 毎週月曜19:00~20:00「食べるラジオ」に出演中!
ミシュランガイド兵庫一つ星認定店がお送りする江戸焼きうなぎ!「茶寮ひさご」
北近畿豊岡自動車道・氷上ICより約20分、山南町の「茶寮ひさご」。日本料理と天然すっぽん料理のお店で、丹波の食材をたっぷり使った懐石料理には定評があります。丹波市では唯一、ミシュランガイド兵庫2016で一つ星に認定されており、創業から60年、地元はもとより京阪神のお客様からも愛され続ける料亭です。
店主の眞鍋馨さんは、北大路魯山人ゆかりの料亭「竹葉亭」で修行し、大阪や四国など数々の料亭で料理長を歴任してきました。竹葉亭は、夏目漱石「吾輩は猫である」のなかで「久し振りで東京の鰻でも食っちゃあ。竹葉でも奢りましょう。」という一節もあり、東京のうなぎの名店として知られています。その竹葉亭の流れをくむ大阪の中之島竹葉亭で和食の修行をした眞鍋さんのうなぎの焼き方は関西でも珍しい「江戸焼き」。江戸焼きとは、さばいたうなぎを一度白焼きし、さらに15分(天然のうなぎの場合は30分)柔らかく蒸してから幾度もタレを掛けて蒲焼にする方法で、手間がかかる分ふんわりと柔らかい食感が楽しめます。
予約すると、加古川水系の丹波産天然うなぎをご用意いただけます(価格は通常うなぎメニューの3〜5割増し)。養殖より筋肉が多い天然のうなぎは焼くとかなり縮み、柔らかく焼き上げるのには熟練の業が必要です。
カウンター席、テーブル席、奥の半個室がある店内。今回はうな重の一尾と半尾をいただきました。
うな重には先付、椀物、香の物がつきます。この日の先付けは夏野菜の揚げ浸しに土佐酢のジュレを添えて。とても爽やかで店主の繊細な技が光ります。
うな重半尾がこちら。つややかなうなぎが食欲をそそります。
(天然うな重一尾 先付、椀物、香の物つき 税込み6,600円/養殖の場合は税込み4,950円)
一尾になるとこの迫力。お箸で切りやすく、口に運ぶとふわとろの柔らかさ。タレは関西風と関東風の中間程度に本味醂と濃口醤油で味付け、天然うなぎをさばいたときに出る頭と骨を焼いて入れているので旨味もたっぷりです。うなぎにかけるタレと、ご飯にまぜるタレは少し違うというところにも、店主の細やかな心遣いが見て取れます。
茶寮ひさごは、天然うなぎを使った数量限定の懐石コースもご用意しています。先付け、うざく、うまき、うな重、椀物、香の物、デザートがついたコース(税込み11,000円)と、さらに白焼きがついたコース(税込み16,500円)があり、うなぎの美味しさを余すところなく味わえます。
素焼きともいわれる白焼きは、タレや調味料を使わずに仕上げるので、うなぎ本来の旨味を味わうことが大きな醍醐味であるといえます。加古川水系の天然うなぎを食するときにはぜひ味わっていただきたい調理法です。
国産うなぎのご提供は一年中行っていますが、天然うなぎを食べられるのは、春から秋の間だけ。この時期、天然物ならではの深い味わいと風味を堪能する贅沢なひとときをお楽しみください。
【茶寮ひさご】
〒669-3157兵庫県丹波市山南町和田132-1
電話::0795-76-0089
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は営業・翌日休)
営業時間:12:00~14:30、17:30~22:00(夜は要予約)
天然うなぎは要予約
注文を受けてから捌く新鮮さが魅力! 旅館でいただくおもてなしのうな重「播磨屋」
北近畿豊岡自動車道・氷上ICより約20分、こちらも山南町にある「播磨屋」。こちらは1896年(明治29)から続く老舗の料理旅館です。宿泊施設としてはもちろん、料理屋として日帰りの利用の方も多く、80人規模の宴会が可能な大広間から少人数で利用できる個室、気軽に立ち寄れるカウンター席や座敷席も有しています。
現在、包丁を握るのは4代目の西田季哲季哲さん。高校を卒業後、京都と伊勢で日本料理を学び、現在は生まれ育った播磨屋に帰り、お父様の跡をついで研鑽に励んでいます。入学や合格のお祝いに宴会、歓送迎会など、節目の特別な一日に、地元の人達を中心に愛され続けてきました。そんな播磨屋が提供するうなぎは、地元の人だけでなく、京阪神や姫路など、遠方から毎年足を運ぶ人も多いという逸品です。その人気の秘密は、焼き上げる技術と、素材の新鮮さにあります。
播磨屋のうなぎは、皮が薄くて柔らかく、肉厚の食感に定評がある愛知県三河一色産の新子にこだわり、播磨屋に代々伝わる独自のルートから仕入れています。仕入れから一週間は地元山南町のきれいな井戸水に放しておくことで、身が締まってさらに食感が良くなります。さらにこのうなぎは、注文を受けてから水揚げして捌くので、とても新鮮。少々お待たせはしますが、最高の状態のうなぎを待つ時間もまた、贅沢なひとときです。
皮をつややかにパリッと焼き上げ、身もしっかりいい色に焼いてから、創業時から受け継がれる秘伝のタレを繰り返しかけて焼き上げます。
お重をしっかり覆うほどのうなぎをのせて提供されるうな重には、驚くほどの満足感があります。
今回は料理旅館ならではの、畳の落ち着ける空間でいただきます。
(うな重一尾 肝吸い、漬物つき 税込み4,620円/要予約)
しっかりコクのあるタレをうなぎにもご飯にもしっかりかけて、最初から最後までしっかり味で食べられるうな重。皮目がパリッとしているのに固くなく、肉厚なのにふんわりした身がお口のなかで解けます。添えられたお漬物はさっぱりした味付けの自家製漬物。地元産の素材で、季節に合わせて手作りされています。
懐石にも定評がある播磨屋、そのお味の決め手は「だし」です。昆布、鰹節、鯖節から丁寧に取っただしはとても風味豊かで、うな重に添えられた肝吸いの上品さにも目を見張ります。取材日には、肝吸いの中にゆず皮が入れられ、夏にピッタリの爽やかで上品な風味に。こちらも季節に応じて木の芽など、季節の香り感じる素材に変えられるそうで、山里の料理屋ならではの細やかな気遣いを感じます。
播磨屋自慢の「おだし」を感じる逸品としてぜひ合わせてお召し上がりいただきたいのが、こちらのだし巻きたまご。お客様からの人気も高く、リピート注文も多いこちらは、とろとろぷるぷるの食感に香り高いだしを感じ、ぺろりと食べてしまいます。
旅館ならではのノスタルジックな空間で、リラックスしながらいただける本格的なうなぎ料理。冬場はうなぎの皮が固くなりやすいため、ご提供は春から秋まで。寒くなる前に、新鮮なうなぎの味をぜひお試しください。
【播磨屋】
〒669-3157丹波市山南町和田279
電話:0795-76-0021
定休日:水曜日、その他に休日あり
営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00
うなぎ料理は要予約がおすすめ
https://www.tamba-harimaya.com/
- 投稿者
- チカコ
- 性別
- 女性
- 年代
- 40代
- コメント
- 関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。