一年を通して、美味しいものに恵まれている丹波市。特に秋以降は、丹波栗、丹波黒大豆、丹波大納言小豆と、次々に旬の味覚が収穫されます。そして11月には猪猟が解禁となり、猪肉を使った「ぼたん鍋」もまた、丹波で大人気の冬の味覚です。

 

丹波市山南町にある居酒屋蘭丸。木の香りただようゆったりしたお店で、普段は地域の方を中心に、お酒を楽しむ憩いの場として親しまれています。また遠方から丹波の味覚を味わいに来るお客様も多く、ぼたん鍋のシーズンには「毎年これが楽しみだから」とぼたん鍋好きのリピーターも訪れる人気店です。

 

大将の大垣年弘さんは元トラック運転手という異例の経歴の持ち主。もともと料理を振る舞うことが好きだったという大垣さんは、2004年に一念発起して居酒屋蘭丸を開業しました。お店では定番の居酒屋メニューも人気ですが、大垣さんが「家の味」として受け継いだ丹波の伝統食は、地元住民も「昔ながらの懐かしい王道の味」と太鼓判を押します。

 

冬季限定!思い出に残るジビエメニュー、ぼたん鍋・猪すき焼き

猪肉は豚よりも白い部分が多く、コラーゲンとヒアルロン酸がたっぷり

 

 

ぼたん鍋は丹波地方で古くから伝わるジビエメニューです。丹波の野山を駆け回って育った良質な猪肉が味わえるのは丹波ならでは。猪肉は、「固い、クセがある」というイメージがあるかもしれませんが、専門的な技術で下処理した猪の肉は驚くほど柔らかく、臭みもなく美味しくいただけます。蘭丸では大垣さんが信頼する市内の猪肉業者の猪肉が仕入れられているので、猪肉の本当の美味しさを堪能することができます。

写真は3人前

 

猪肉が良質なのはもちろん、蘭丸のぼたん鍋は野菜も新鮮。「さっきおっちゃんが、裏の畑で引っこ抜いてきた白菜とネギやで」とニコニコ顔の大垣さん。みずみずしい食べごろの野菜にも期待が高まります。

 

猪肉と野菜を特製の味噌出汁に入れて火にかけると程なくしてお味噌のいい匂いが漂います。満を持して口に運ぶと、煮込まれた猪肉のあまりの軟らかさに顔がほころびます。甘みのある脂身はあっさりさっぱりとした食べごたえで、お味噌のコクと猪肉の脂の甘味が丁度いいバランスで合わさります。また、とれたて新鮮なネギや白菜も甘くてとろける味。スープまで飲み干したくなるような、あっさりしているのに食べごたえのあるお鍋です。

そして中盤には、自家製山の芋のとろろに溶き卵を混ぜて投入! 山の芋はいわゆる長芋(山芋)よりも粘りが強く、もっちりした濃厚なとろろが楽しめる丹波地域の特産品です。この山の芋のとろろを味噌出汁のなかで温めるととろふわの新食感に。丹波ならでは、蘭丸ならではの贅沢なお鍋の楽しみ方です。

 

蘭丸ではぼたん鍋の他にも、すき焼きや猪焼肉など様々な猪肉メニューを冬季限定で提供しています。ぼたん鍋は脂身の多い部分、すき焼きには赤みの多い部分と、料理に応じて部位を使い分けます。

 

コクたっぷりの猪の赤身に、甘辛いすき焼きのタレがしっかり馴染み、あと引く味。定番のぼたん鍋とならんで人気のあるメニューです。

 

通年楽しめる伝統の丹波の味!お土産、テイクアウトにも嬉しいさば寿司

猪肉メニューの提供は冬期(11月中旬~2月)限定ですが、蘭丸には通年で楽しめる丹波の伝統の味があります。それが人気メニュー「さば寿司」です。

 

丹波名物ともいわれるさば寿司。海から離れており鮮魚が手に入りにくかった丹波地域では、若狭湾から京都方面へ来る行商人から仕入れる塩さばが貴重な魚の入手源でした。さば寿司が、お祝いやお祭りには欠かせない定番のごちそうでもあります。

 

蘭丸のさば寿司のシャリは、有機肥料や油かす、山の落ち葉などを使って徹底的に土づくりにこだわった自家栽培の「コシヒカリ」と「日本晴」をブレンドしたもの。冷蔵庫で熟成させたお米をガス火で炊き上げ、手早く酢飯にします。

舞鶴港から直送された肉厚のさばに2~3日かけてしっかり味をしみこませ、専用の木枠に入れて酢飯をのせ丁寧に一つ一つ押していきます。

甘酢の味がしっかり染み込んださば寿司は大垣さんにとってもおふくろの味。地元のお客様からも「ここのさば寿司が一番!」と好評を博しています。

 

生寿司のほか、あぶりも好評。皮を炙って仕上げたあぶりさば寿司は、皮のパリッと食感と身のジューシーさが際立ち、香ばしい焼き目や食感も楽しめます。

さば寿司は店内での飲食の他、JA丹波ひかみのとれたて野菜直売所や道の駅あおがきなどでも販売しています。テイクアウトの昼食に、丹波土産にと好評の品です。

 

丹波生まれ丹波育ちの大垣さんだからこそ伝えられる、丹波伝統のおふくろの味。丹波の味覚を味わうなら、陽気で腕も確かな大将のいる居酒屋蘭丸で、親しまれ続けてきたホンモノの味を楽しんでみてはいかがでしょう。

 

居酒屋蘭丸

ぼたん鍋1人前4,500円~

すき焼き1人前4,500円~

期間は11月中旬から冬季限定(在庫次第)

ぼたんメニューが食べたい人は3日前までの要予約

 

さば寿司1,100円(税別) さば寿司あぶり1,200円(税別)

 

所在地   丹波市山南町草部296

電話番号              0795-86-8756

FAX番号             0795-86-8756

営業時間              平日17:00~22:00(LO21:30)、土・日・祝17:00~23:00(LO22:30)

定休日   火曜

 

※新型コロナウイルス感染拡大防止等を受け、緊急事態宣言下(~2021年2月7日)では営業時間を20時までに短縮しています。その他、要請や状況に伴い営業状況が変更になりますので来店前にはお問い合わせください。

※価格、営業時間、営業日などは取材時の情報です。

私がレポート

稿
チカコ
女性
30代
関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。
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