エスプレッソ、ラッシー、タピオカミルクティ……どんな飲み物が流行しても、結局私たちの日常で一番身近な飲み物は、「お茶」ではないでしょうか。毎日飲むものだからこそ、栽培される場所や方法、お茶作りの工程に信念のある、ご贔屓の「お茶屋さん」を持ってみるのはいかがでしょう。SATURDAYTAMBA取材陣が今回ご紹介するのは、丹波市春日町にある「徳寿園」です。

 

「やぶきた」「在来種」を様々な基準でセレクト、あなた好みのお茶に出会える

 

昭和20年に製茶業兼燃料店として創業した徳寿園。(「燃料店?」と思われた方、詳しくは後ほど説明いたします。)店舗に入るとふんわり優しいお茶の香り。「お茶好きですか? よかったら飲んでください」と社長の細見徳彦さん自らお茶を入れてくださいました。

 

徳寿園で取り扱われる茶葉の品種は二種類。まず、日本で栽培されている茶葉の75%を占めるという「やぶきた」。そして飛鳥時代に比叡山から丹波地域に持ち込まれ、代々この地域で生産されてきたという「在来種」です。在来種は細見社長曰く、「生きていく意欲の強い品種」。自分が生き延びるために地中にしっかり根を下ろす性質があり、ミネラルを感じる力強い味わいが特徴です。

 

「なんぼでも飲める」無農薬・無化学肥料のお茶作りの秘密

 

 

丹波のような寒暖差のある気候は良質なお茶が育ち、さらに南向きの斜面はお茶にとってベストの環境とのこと。

「この環境で育ったお茶はかなり風味があります。ぐっと来るような後味がよく、苦味もない。農薬・化学肥料が使われてないお茶ならほんま、なんぼでも飲めます」

 

徳寿園が取り扱うお茶の大きな特徴の一つが農薬・化学肥料不使用のオーガニックであること。オーガニックの審査が厳しいEU・ドイツにて検査・データ化され、ヨーロッパ諸国からのお問い合わせや健康志向の方からのお問い合わせも受けています。

 

農薬・化学肥料不使用のお茶作りのキーポイントが実は、先程お伝えした「燃料店」であること。「燃料」とは、くぬぎ炭(菊炭)のことです。徳寿園では春から秋はお茶作り、冬は茶道用道具炭の製造を営んできました。その炭焼きの際に出る煙を冷却して自家製の木酢液を作り、それを土づくりや殺菌、害虫の忌避に使用しています。

 

(徳寿園の冬のお仕事で作られる、お茶席用のくぬぎ炭(菊炭))

 

細見社長に聞く!シチュエーション別人気のお茶

 

茶葉をその大きさや部位、新芽の時季など独自の基準で選別し、徳寿園で販売している商品は20種類程度。その中で特に人気の高いものを、細見社長に伺いました。

 

普段遣いならこれ!カフェインも気にならない「赤ちゃん番茶」

「昔、おばあちゃんがむしろで干して作っていたようなお茶を作ってみよう」という発想から生まれた、徳寿園オリジナル商品。夏の日差しをしっかり浴びたミネラル・カテキンの多いお茶の芽を天日で干し、数年熟成させました。カフェインをほとんど含んでないので妊婦さんや赤ちゃんにも安心して飲んでいただける、まろやかな優しい味。水出しもできるので、毎日気軽に飲むことができます。

200g  1,296 円 (税込)

 

懐かしさが逆に新鮮!渋みを味わう「太陽のお茶」

茶葉を天日で干しそのまま味わう「太陽のお茶」。昔、農家さんが家で作って飲んでいたのと同じ、シンプルな作り方のお茶で、飲むと日なたの香りが楽しめます。カテキン含有量は徳寿園のお茶の中でもナンバーワン。「昔ながらの懐かしい味」ですが、「飲んだことない味で新鮮」と20代、30代のファンも多いお茶です。

80g  540 円 (税込)

ここ一番に出したい・飲みたいとっておき「山裾茶」

甘みのある煎茶を飲みたいなら絶対コレ!お茶にとって最高の環境である南向きの山裾で栽培されたこのお茶は、山から自然に落ちた落葉樹の葉を堆肥として育ちました。ふわっと香るお茶の香ばしさと繊細な茶葉の甘みは、お茶をじっくり味わいたくなるような贅沢な時間を演出。大切なお客さまにお出しするお茶としても最高です。

2g×15個入り 648 円 (税込)

密封力が非常に高いと細見社長も言っていたすぐれものの茶筒と、手軽に飲めるティーパック式ほうじ茶もオススメです。

老舗茶店主に聞く、いいお茶屋さんの選び方とは

(お話を聞きながらお茶の試飲もできる休憩スペース)

 

「世の中には様々な『お茶』がありますが、その中でも日本茶、緑茶は一番手間がかかるお茶です。本来の日本茶には無数の工程があり、奥が深くて難しい飲み物です。お茶屋としての私たちの役割は、いかに緑茶の奥深さをお客さまにお伝えできるかという点です」

 

5月、新茶の季節は全国的にもお茶への関心が高まり、この時期しか飲めない、若くて青いフレッシュなお茶が楽しめます。

「でも、お茶が本当に味わい深くなるのは秋からです。熟成され、青い味からまろやかな味になります。『お茶』と一口に言いますが、春夏秋冬でお茶の味は違います。私のおすすめは秋以降。熟成しきったこの時期こそ、お茶屋の腕の見せ所です。秋から冬に買ったお茶が『美味しい』と思われたら、それはいいお茶屋さんの証拠です」

 

秋・冬こそ実は、お気に入りのお茶屋さんを見つけるのに最適な時期。日々の体を潤す飲み物に、本物志向のお茶を取り入れてみませんか。

 

 (徳寿園社長 細見徳彦さんにお話を伺いました)

有限会社 徳寿園

兵庫県丹波市春日町中山1273

TEL 0795(75)0302

FAX 0795(75)0221

Eメール hosomi@tokujuen.co.jp

http://www.tokujuen.co.jp/

営業時間/8:00〜18:00

定休日/ 日・祝日・第2・第4土曜日

※価格等は取材時の情報です

私がレポート

稿
チカコ
女性
30代
関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。
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