暑かった夏も終わり、ようやく秋らしい風を感じる季節になりました。

 

秋は、丹波市が一番にぎわう季節です。

丹波の秋の味覚を代表すると言っても過言ではないのが「丹波栗」。全国各地から「丹波栗」を求めて、多くの方が丹波市を訪れます。

 

今回ご紹介するのは、丹波栗をはじめとする、丹波の素材を使ったスイーツで有名な「夢の里やながわ」です。

 

テレビや雑誌で紹介されたことも多々あり、すでにご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

 

店内は、明るく広々とした空間になっており、目移りしてしまうほどたくさんの生菓子・焼き菓子・加工食品が並んでいます。

 

夢の里やながわ本店は、ケーキ等の生菓子やバームクーヘン、“焼きたて”のどら焼やパイなどの「スイーツ」、丹波黒大豆の煮豆や丹波栗の渋皮煮などの「食品」、さらには丹波栗や本黒枝豆などの丹波産の「食材」の販売まで多岐に渡り、まさに「丹波の美味しいもの」が目白押しのお店です。

 

店内では、バームクーヘンを焼いている様子も見ることができます。焼き上げられていくバームクーヘンのほんのり甘い香りも店内に漂っており、視覚と嗅覚でバームクーヘンを楽しめます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の里やながわ本店の商品は、地元丹波の材料を数多く使っています。

そこには、丹波の豊かな食材を通して、丹波の魅力をもっと知って欲しいという強い思いがあります。

 

株式会社やながわ 代表取締役 柳川拓三(やながわたくみ)さんに、商品へのこだわり、そして、丹波への思いについて伺いました。

 

柳川さんは、丹波生まれの丹波育ち。豊かな実りをもたらす丹波の自然のような、穏やかで優しい雰囲気の方です。

 

「株式会社やながわ」の前身となる「柳川商店」は、明治25年に創業、もとは製茶業、お茶の加工から、お店の歴史が始まりました。

原点である製茶加工は、今でもやながわの基幹商品として、日々研究を重ねているそうです。

 

 

製茶業から始まった「やながわ」が、今の形になるまでにはいくつかの転機がありました。

 

 

お茶から黒豆へ

 

もともと職人だった柳川さんは、ものづくりに対するこだわりから、自社で黒豆の加工を始めるようになりました。

そして1989年(平成元年)、大河ドラマ「春日局」の放送で、縁の地である春日町が注目されました。

その時、丹波黒大豆を使った「お福豆」がヒット商品となり、丹波の素材を活かした商品開発が始まるきっかけとなりました。

 

 

 

お菓子の小売開始

 

2005年(平成17年)には、百貨店が主催する物産展への出店をきっかけに、それまで中心だった卸売に加えて、自社で対面販売が出来る場所として「夢の里やながわ」直営店をオープンしました。

柳川さんは、物産展やデパートの出店などで国内のみならず海外へも出かけていき、丹波の商品をアピールしてきたそうです。

 

その時の「人に育ててもらった」経験が、今思うととても大切だったと語ります。

 

柳川さんが直営店をつくるにあたって大切にした思い、それは、“目的地”になるような場所にしたいということです。

大きな通りに面しているわけではなく、むしろ立地としては少し分かりにくい場所かもしれません。しかし、あえて「目的を持って訪れる店」を目指しました。

 

そしてもう一つは、加工場との一体性。生産者から素材を受け取り、加工もすべて自分たちで行います。

加工場は店舗のすぐ裏手にあり、店頭と加工場を足しげく行き来する店員さんを見かけました。

 

「加工にはこだわりがある」と柳川さんはおっしゃいます。

それを可能にするのがこの一体性なのだと感じました。

 

 

昔から一貫しているのは、丹波の素材を使うこと。

丹波栗、丹波黒大豆、丹波大納言小豆。この3つは、いずれも古くから朝廷や幕府への献上品とされ、地域の誇りとして守り育てられてきました。

 

和食の世界では、「丹波もの」=「特別なもの」。

 

丹波の宝ともいうべき作物を守り続けた生産者を、風景や歴史などを含めた丹波の魅力とともにお伝えするミッションがあると、柳川さんは語ります。

 

ユネスコ無形文化遺産になった和食は、「自然を尊ぶ」という日本人の精神のもとに生まれた食文化であることが評価されました。それはすなわち、「素材の持ち味を尊重する」こと、「四季を食に表現する」こと。

和食と同じ精神を込めて、「夢の里やながわ」のお菓子は作られています。

 

通年通して、生菓子から焼き菓子まで豊富な品ぞろえがある“やながわ”ですが、秋の季節はなんといっても丹波栗を使った「和のモンブラン」がおすすめです。

 

 

「和のモンブラン」の構成はとてもシンプル。

 

4層仕立てとなっており、一番上には、モンブランペースト。原材料は丹波栗と砂糖のみです。

その下には、生クリームの層、カスタードクリームの層が続きます。カスタードクリームには、丹波の卵と牛乳が使われています。

一番下は、スポンジ。主役はあくまでモンブランペーストであり、クリームとスポンジは脇役として主役を引き立たせるように作られています。

 

丹波栗の加工には相当な手間と、熟練の技術が不可欠です。その上、他の食材にはない難しい課題がいくつもあります。

 

技術を何年も積み重ね、熟練した丹波の人の力があってこそ、このモンブランペーストができるのです。

 

シンプルだからこそ誤魔化しがきかない、丹波栗のモンブランペースト。

「株式会社やながわ」が長年磨き上げてきた加工技術。その技術の結晶ともいうべき「和のモンブラン」。ぜひ、一度食べてみてください。

 

なお、人気商品となっており、多くの方にお求めいただくため、おひとり様2個までの購入となっておりますので、あらかじめご了承ください。

 

丹波栗を使ったスイーツは、11月中はお楽しみいただけるとのことです。

12月中頃からは、イチゴを使ったスイーツが登場する予定です。イチゴを使ったスイーツやケーキも楽しみですね。

 

やながわ本店にはカフェスペースも併設されていて、カフェメニューはもちろん、購入したケーキを召し上がっていただくこともできます。開店と同時に営業しているのも嬉しいですね。風が気持ちよい屋外テラス席もあります。

 

 

 

 

「夢の里やながわ」は「ライブステージ」なのだと柳川さんは言います。

 

「夢の里」の名前には、交流を産み出す場としてチャレンジし続ける「夢」、そして、ここから広がって丹波をつなげていく「里」の願いがこめられています。

柳川さんの決して揺るがない丹波への愛情は、「ただ商品を売るのではなく、想いを伝えたい」という気持ちです。自ら店頭に立って接客し、開店前には、並んでいるお客様に対しご挨拶されることもあるそうです。

 

「周年祭のアンケートでは、接客をほめていただくことが多かった」と嬉しそうに話されていましたが、柳川さんの想いを知れば、それも納得です。

 

そんな「夢の里やながわ」のお菓子を求めて、遠方から訪れるお客様も多いのだそうです。

 

 

人と人とのつながりを一番大切にしている、と語る柳川さん。

「スタッフにとっても働きがいのあるお店にしたいです。その気持ちが、夢の里やながわの“ライブステージ”を通じて、お客様にも伝わってくれたらいいなと思っています」

 

丹波の自然と職人の手仕事が創り出す“メイドイン丹波”のお菓子。

 

地元の栗や黒豆などの食材を磨き上げてきた技術で丁寧に加工し、素材本来の風味を大切にしたスイーツは、味はもちろんのこと、心にそっと寄り添ってくれるような優しい味がします。

丹波の豊かな自然、長きに渡って積み重ねられた技術、そして人の想い。

それらが詰まったスイーツを味わえる「夢の里やながわ」。

 

ぜひ、丹波の“おいしい物語”に触れてみてください。

 

 

【夢の里やながわ本店】

住所:丹波市春日町野上野920

電話:0795-74-0123(フリーダイヤル:0120-928-522)

営業時間:10:00~17:30[カフェはLO 16:30]

定休日:元旦・毎週木曜日(祝日は営業)

駐車場:有(30台)

ホームページ:株式会社やながわ

Facebook:夢の里やながわ

本店インスタグラム:@tamba_yanagawa

 

※今の時期(10月~11月頃)の土日祝は、特に混雑が予想されます。開店前から行列ができる日もあります。

 混雑時には入場制限をさせていただく場合がありますので、お早目のご来店をおすすめします。

 なお、一部の商品は「道の駅 丹波おばあちゃんの里」でもご購入いただけます。

 

 

私がレポート

稿
まる
1980年代
自然や食べることが好きで、私が気になった"丹波市"を発信中です。
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