女性初の栗剪定士として「ヒロちゃん栗園」を運営する山本浩子さんが、“より多くの人に丹精こめて育てた丹波栗を食べて貰いたい”と一念発起。2020年9月、「ヒロちゃん栗園DE八百屋さん」をオープンしました。ここでは自ら育てた丹波栗をはじめ、山本さんが一軒ずつ生産者を回って集めた地元丹波の野菜や果物、卵などが揃い、これらの食材をダイレクトに味わえる飲食スペースも設置。新たな観光スポットとして注目を集めています。

 

 

丹波栗の奥深さに魅了され、栗農園をオープン

 

神戸から丹波へ嫁いできた山本さんが、丹波栗に興味を持つようになったのは、お義父さんが育てていた栗の木を自分でお世話するようになってから。はじめは軽い気持ちで栗拾いを手伝っていましたが、手入れをしない栗の木は年を経るごとに収穫量が減り、弱って枯れていく木もありました。そこで、勉強会に参加し、栗栽培について一から学び、さらには丹波市で女性初の「栗剪定士」の資格を取得しました。

 

山本浩子さん

 

栗栽培と販売に関わるうち、「丹波栗は需要があるのに、その価値に一番気づいていないのは丹波の人なのでは」と感じた山本さん。「いつか丹波を栗の里にしたい」という思いで「栗っ子会」を発足しました。女性が楽しみながら栗栽培についての知識や経験を得られる環境を整え、自らも「ヒロちゃん栗園」をオープン。丹波栗の魅力を広めようと、オリジナルレシピの考案や、イベントへの出店など積極的にPR活動を行ってきました。

 

1年を通して丹波栗を楽しんで貰える店を

 

 

「ヒロちゃん栗園DE八百屋さん」があるのは、国道175号線の大通り沿い。質のいい丹波栗を安定して収穫出来るようになったことで、本格的に栗の販売ができる場所が欲しい、また、1年を通して栗製品を販売できる加工作業場が欲しいと思っていた矢先に出合った物件でした。

 

2020年6月に物件を購入し、9月には「ヒロちゃん農園DE八百屋さん」をオープン。栗の収穫時期に合わせてオープンさせることが絶対目標でした。

 

オープン時には「栗の皮剥きます」と謳ったチラシを出しました。このチラシの反響は大きく、一気にお店の認知度も上がりました。

遠方からのお客さんも多く、丹精込めて育てた丹波栗を広く知ってもらえる拠点ができました。特に低温熟成させ、甘みと旨味を凝縮させた熟成栗は一度食べると忘れられない甘さです。

 

自分たちで育てた野菜はもちろん、地元丹波の生産者から直接届く野菜や果物、加工品も、丹波栗と並ぶ店の主力商品です。優良な農業者さんの販路が少しでも広がればと、自身が信頼を置く生産者さんを一軒ずつスカウト、契約農家として販売を請け負っています。

 

 

店内には作り手の想いやこだわり、魅力が伝わるようにと、見やすくデザインを統一したパネルを展示。市外からのお客さんにも親しみを持って丹波の食材に触れてもらえるように工夫を凝らしています。

 

 

ちょうど旬を迎えた丹波市春日町「籾井農園」のいちごは、以前、浩子さんが食べて惚れ込んだもの。アイスを食べた後に食べても甘いと思える程甘いイチゴで、浩子さんはこの季節が来るのを心待ちにしていたと言います。

 

丹波栗のことはもちろんのこと、お店の商品は自分たちの言葉で語れるものばかり。お客さんとの会話も楽しみながら、一度買ってくれたお客さんがまた来てくれたときがとても嬉しいと話します。

 

丹波栗や丹波の恵みを味わえるスペースも

 

 

店内では買い物だけでなく、ゆったりとくつろげる飲食スペースも。

 

 

平飼い卵で有名な芦田ポートリーの新鮮な卵を使った卵かけご飯のセットは450円。旬の地元食材で作るおひたしやお味噌汁、お漬物が付いてきます。お味噌汁の味噌は西脇の足立醸造のもの。丹波の恵みが詰まっています。

 

 

 また、丹波大納言小豆をたっぷり使ったぜんざいには、大きな丹波栗の甘露煮がごろり。サラッと仕上げたぜんざいは小豆の風味をしっかりと味わうことができます。甘さを控えた甘露煮も栗本来の素朴な甘みを生かした逸品です。

 

 

丹波栗の独特のコクと甘さを堪能できる自家製のマロングラッセは、ほろ苦いコーヒーとの相性も抜群です。

どのメニューも出来る限り手を加えずシンプルに、素材の良さが伝わってくるものばかり。飲食スペースで使う食材は、店頭販売もしているので、実際に食べて美味しいと思えばすぐに購入することができます。地方発送も可能なので、お土産や贈り物にも良さそうです。

 

現在、従業員は山本さんを含め9人。SNSのPRやメニュー開発など、それぞれが得意なことを生かし、補い合えるチームワークも自慢です。

 

ヒロちゃん栗園DE八百屋さん・これからの展望

 

当面の目標は1年を通して丹波栗やオリジナルの加工品を販売していくこと。人気の高い焼き栗も自家製できるように研究中です。主婦の目線でできることを一つずつ増やしながら、丹波栗と言えば「ヒロちゃん」と思ってもらえるようになりたいと話す山本さん。

栗を使ったコロッケやソフトクリームなど、買ってその場で食べられる加工品を増やす計画もあるそうです。立地を活かし、パーキングエリアのように、観光客にも気軽に立ち寄ってもらえる場所になるのが理想だとか。

 

ヒロちゃん栗園DE八百屋さんで販売されている商品を詰め合わせにして遠方への発送も可能

 

また、丹波市立農(みのり)の学校の卒業生たちと連携した自家製野菜・果物作りや、栗を使った新しい加工品の開発にも意欲的。

 

1人の思いから始めた事業が、共感してくれる人との繋がりの中でどんどん大きくなっています。丹波に行けば立ち寄りたくなる。進化し続ける「ヒロちゃん栗園DE八百屋さん」から目が離せません。

 

ヒロちゃん栗園DE八百屋さん

 

所在地   〒669-3574 兵庫県丹波市氷上町朝阪273-5

電話番号              0795-86-8133

営業時間              9:00 ~ 17:30 (季節により18:00まで)

定休日   水曜日 (季節により変動あり)

駐車場   有 10台

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私がレポート

稿
チカコ
女性
30代
関西某所で生まれ育ち、ひょんなことから数年前に丹波に移り住むことに。ライターとしてインタビュー記事や、丹波のランチレポ、ニューオープン情報などを書き綴る仕事をしつつ、夜な夜なしっぽりカウンター飲みを楽しむアラフォー女子です。
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