「フランス料理のフルコース」と聞いて、皆さんはどんな印象を受けますか?
滅多に食べれない高級な料理? ちょっと敷居が高い? お財布が心配?
こんなふうに少し背筋を伸ばしてしまうイメージがあるかもしれません。
今回ご紹介するのは、そんなフランス料理のフルコースをもっと身近に楽しめるお店、丹波市山南町にある「フランス料理 ローベルジュ」。
ローベルジュは「1日1組4名限定」の予約制プライベートレストランです。
丹波市山南町の民家が立ち並ぶ緑豊かな風景の中に、「ローベルジュ」があります。ローベルジュ(=オーベルジュ)とは、フランス発祥の宿泊施設を備えたレストランのこと。
フランスの郊外や地方にあるオーベルジュと、山南町で開くレストランの雰囲気が近いことから、「L'auberge~ローベルジュ~」と名付けられました。
朽ち木がおしゃれな、茶色い看板が目印です。
フランス料理のフルコースと聞いても緊張する必要はありません。
店内はウッド調の暖かな雰囲気で、友達の家に遊びに来たような雰囲気です。高い天井にはシーリングファンがゆっくりと回転し、横幅の広い窓からは鮮やかな緑と爽やかな風を感じます。
ゆったりとした時間が流れ心落ち着ける、そんな空間が演出されています。
テーブルは1つ、椅子は4脚のみという、4名限定の完全プライベート空間です。
テーブルセットには本日のメニューが添えられていて、そのメニューには予約者の名前が記されていて、自分の為に用意された料理への特別感と期待感に心が高鳴ります。
前置きはここまで、さっそくお料理をご紹介したいと思います。
完全シェフおまかせのフルコースフレンチをご堪能ください!
【アミューズ】
アミューズとは、フランス料理で正式なコースの前に提供される小さな一品料理のことを指し、フランス語で「お楽しみ」という意味があります。
この日のアミューズは、グジェール(シュー生地にチーズを混ぜて焼く、フランス、ブルゴーニュ地方の郷土料理)です。
枯葉と木の実をあしらったお皿で登場したグジェールは、生地はふわふわで、口に含んだ時のクシュっとした独特な食感の後に、グリエールチーズ(スイス原産のハードチーズ)の芳醇な味と香りが口全体に広がり、チーズ好きな人にはたまらない一品となっています。
【カマスと海老 帆立 アボカドのカクテルのサラダ仕立て】
オードブル(前菜)は、見た目も涼やかな魚介のサラダ仕立です。
シャキシャキのベビーリーフの上に乗っている白い泡は、レモンの泡ドレッシングです。レモンの泡ドレッシングはふわふわ食感で、レモンのフレッシュな香りとやさしい酸味が、新鮮なベビーリーフと合わさり、爽やかな味が食欲を刺激し、これから出される料理への期待を高めていきます。
エビとホタテは、肉厚ぷりぷり食感で、アンチョビマヨネーズソースととてもよく合います。カマスはふわふわに焼き上げられていて塩味が絶妙。こちも、コクと独特の風味のあるアンチョビマヨネーズソースとあっさりしたカマスの塩味が最高の組み合わせです。
【地場産とうもろこしの冷製ポタージュ】
スープは、ポップコーンが浮いているのが珍しい、とうもろこしの冷製ポタージュです。
素材は丹波産の朝採れとうもろこしで、口に含むととろみがあってとても滑らかです。
朝採れの新鮮なとうもろこしを冷製にすることで、とうもろこしの自然でやさしい甘みを最大限に引き出し、濃厚な甘みに“あっ”という間に飲み干してしまいました。
【自家製バケット 発酵バター】
バゲットは、北海道産小麦粉キタノカオリを使った、その名の通り香り高い自家製バゲットです。
焼き上がりの小麦の香ばしい香り、カリッとした黄金色の表面ですが、クリーム色が美しい中はモチッと食感にやさしい小麦の甘味で食べ応えも抜群です。
バゲットは、そのまま食べても美味しいのはもちろんですが、添えられた発酵バターをつけることで、さらに美味しさがアップします。
発酵バターは、一般的なバターに比べるとバターの香りや風味が強いのが特徴です。
バゲットとバターがお互いの風味を引き立て合うので、食べると至福のひとときを味わえます。
【鳴門鯛のポワレ】
魚料理は、鳴門鯛のポワレにリゾットと舞茸のフリットが添えられ、きのこの風味が香るクリームソースでまとめられた一品です。
厚みのある鯛はスプーンで簡単にほぐれるほど柔らかく、皮目はパリパリでちょうどいい塩加減。
淡泊でクセの少ない鳴門鯛ですが、しっかりした旨味があるため、舞茸等きのこの風味が強いクリームソースにも負けていません。
また、きのこの旨味をふんだんに吸ったリゾットは少し硬めの食感となっているので、噛めば噛むほど旨味が出てきます。さらに、柔らかい鯛と一緒に食べると、様々な食材の旨味が口いっぱいに広がります。
カリッとした食感の舞茸のフリットは、コクのあるクリームソースとの相性が抜群です。
【ブルターニュ産 乳呑み仔牛のロースト】
メインとなる肉料理は、フランスのブルターニュ産の乳呑み仔牛のお肉と、地場産の椎茸とごぼうを合わせた一品です。
少しレアな焼き加減の仔牛肉の断面はキレイなピンク色で、ほどよい弾力があり、噛めば噛むほど旨味が出てきます。
お肉に合わせるマデラ酒のソースは、酸味がきいているのでお肉をさっぱりといただけます。
一口大の肉厚な椎茸は、椎茸の甘さがマデラソースの酸味によって引き立っており、仔牛肉に添えられたゴボウの香ばしさが、いいアクセントになっています。
【クレームブリュレ レンズ豆の自家製アイス添え】
デセール(デザート)は牛乳と卵の味が濃厚なクレームブリュレです。
表面のキャラメリゼはパリパリ、中のカスタードはとても滑らかです。
上に乗った自家製アイスは、レンズ豆入り。丹波の低温殺菌牛乳や、丹波産地卵が使われているアイスは、程よい甘さでミルクの風味を引き立てます。
また、クレームブリュレと一緒に食べると、ほろ苦いキャラメリゼが、やさしい甘さのカスタードやアイスでまろやかな味わいになり、口の中全体にやさしい甘さが広がります。
滑らかな中に細かく刻んだレンズ豆が、いい食感のアクセントになっています。
【小菓子】
小菓子は、自家製の可愛らしいプティフール(一口大の大きさに仕上げたお菓子の総称)。
ムランゲ(メレンゲ)やクッキーなどが可愛い銀色のお皿に盛りつけられており、いずれもザクザクとした食感を楽しむことができます。
しっかりした甘さになっているので、コーヒーの苦味とちょうどいいバランスでした。
なお、食後のドリンクは、コーヒーか紅茶が選べます。
【ドリンク】
ドリンクは、アルコール飲料では、ボトルワイン(3,000円[税込]~)と、グラスワイン(1,000円[税込])が用意されています。
もちろん、ノンアルコール飲料も取り扱われており、ノンアルコールシャンパン(1,000円[税込])と、ノンアルコールビール(500円[税込])が用意されているので、アルコール飲料が飲めない方も安心して食事とともにドリンクを楽しむことができます。
一皿一皿にシェフのこだわりを感じる圧巻のフルコースでした。
このフルコースで、5,000円(税込)というのが驚きです。
ホテルフレンチのような、わかりやすい「クラシックなフランス料理」と、新たな技法等を取り入れる「イノベーティブなフランス料理」の両方を取り入れた「ローベルジュのフランス料理」は、まさにここでしか味わうことのできない絶品料理となっています。
お食事の後、店主の黒田さんにお話を伺いました。
山南町が地元である黒田さんは、2018年に自宅を改装して「フランス料理 ローベルジュ」を開店されました。
地元山南町でレストランを開くのは、黒田さんの長年の夢だったそうです。
「家ではなかなか食べることのできない、特別な料理を提供したい。」
根底にはその思いがあります。
また、黒田さんこだわりの食材を、自らが一番美味しいと思う形で提供するため、ローベルジュの料理は、「完全お任せのフルコース」のみ。
完全お任せのフルコースのみになるため、苦手食材並びにアレルギー食材への対応ができません。
また、小学生以下のお子様の入店をお断りさせていただいています。
こうした色々な制約があることから、自らローベルジュを「わがままなこだわりレストラン」だと言います。
料理やお店の雰囲気のすべてにおいてこだわりを持つ黒田さんは、もちろん料理の素材についてもこだわりがあります。
お肉はフランスからの輸入仔牛、魚介類は徳島の漁港から、野菜は播磨や丹波の新鮮な野菜を直接買い付けて使っているとのこと。
また、梅の木から採れる梅でソースやジャムを作ることもあり、無花果、早稲みかん、柿、木の実類などなど、庭や畑で採れる果物や木の実も立派な食材となります。
お店の定休日も、「料理のことばかり考えている」そうで、様々な地域から仕入れた「いい食材」を活かすための研究にも余念がありません。
美味しいものを提供したい、そんな思いが遠くはフランスから最高に新鮮な食材が手に入るお店の庭まで、その時々に最高の食材を仕入れられています。
ローベルジュでは、料理や配膳に至るまで、黒田さんがすべて一人で行っています。
ひとつの料理も手を抜かない、そんな信念が全ての料理を自分の手で生み出し、「1日1組4名限定」のみという、こだわりのフレンチレストランの形態に繋がっているのかしれません。
ローベルジュでは、フレンチのフルコース料理を、ランチ・ディナーのどちらも5,000円[税込]で提供されています。分かりやすく、お財布にやさしい価格設定です。
コースは、旬やバランスを考えて決めており、コース全体を通して料理や季節をお楽しみいただけます。
メニューは概ね季節ごとに変更されており、予約は2か月先まで承っているとのことです。
予約は、ローベルジュ公式LINEのみで受け付けています。
なお、メニュー内容の関係で、一度ご来店いただいた方は、来店日から2か月以上空けてのご予約をお願いしています。
「色々と制約はありますが、その上でご来店いただいて、ローベルジュの味を気に入ってくださったら、これより嬉しいことはありません。」と語る黒田さん。
ローベルジュへ来店するお客さんはリピーターが多いそうで、様々な人に愛されているお店だと感じました。
そんな黒田さんが料理人を目指したきっかけは、子供のころに見たテレビ番組だったそう。
プロの料理人が世界の国々の見事な料理を創作する様をみて、「世界には、こんな美味しそうなものがあるんだな」と感動し、黒田さんを料理人の道へと導きました。
その感動は、今日味わったこの特別なお料理につながっています。
地場産の食材を取り入れ、一品一品、丁寧に創りこまれたフレンチのコース料理。
1日1組4名までというプライベートな空間で楽しむ「丹波のフレンチ」。
プライベート空間なので、服装や堅苦しいマナーも気にせずフルコースを楽しむことができます。
こだわりの食材を一番美味しく食べることができる「ローベルジュ」で、お腹も心も大満足な、絶品フレンチをご堪能ください。
【フランス料理 ローベルジュ】
住所:丹波市山南町村森8-3
営業時間:昼12:00~15:00(L.O.13:00)、夜18:00~21:00(L.O.19:00)
定休日:月・火(祝日の場合営業あり)
駐車場:有
※お料理は5,000円(税込)のコース料理のみになっております。(昼・夜共通メニュー)
ご予約はLINEのみ承っております。お友達登録していただくとメッセージをお送りいたします。
LINEアカウント:@tin3310e
Instagram:@restaurant_auberge_jp
Facebook:レストラン ローベルジュ
- 投稿者
- まる
- 年代
- 1980年代
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