
2026年2月。丹波市山南町に「さとやま食堂」がオープンしました。
店内には大きなガラス窓があり、緑豊かな風景が目の前に広がります。
対岸には創建1300年以上とされ、桜の名所でもある「常勝寺」の参道への入り口が見えます。
元々はご実家のガレージだったということを感じさせない、木づくりの店内はとても静かで、入り口の「のれん」が風にはためき、店内に光が差し込みます。

慌ただしい日常から少し離れ、ゆっくりと深呼吸をしたくなるようなお店です。
店主の藤本 倫子(ふじもと ともこ)さんは、4人のお子さんを育てながらお店を営んでいます。
平日の営業時間が11時30分から15時というのも、お子さんが学校に行ってから帰ってくるまでの営業だからだそうです。
まだまだ子育てにも手がかかる時期に「なんでいま始めたんでしょうね。」と笑う藤本さん。
藤本さんは、この場所でのこれからの暮らしと「伝えたいこと」のために、自家栽培米や農薬や化学肥料を使わず、できるだけ自然の力に任せて育てた丹波産の自然農野菜を使ったお料理を提供する「さとやま食堂」の開店を決意します。
藤本さんは学生時代から、飲食店を中心に接客や調理補助を多く経験し、その後、営業の仕事も経験。
現在までに様々な働き方を重ねてきました。
転機となったのは、子育てやご自身の体調の変化でした。
第二子を妊娠していた頃、化学物質過敏症になり、柔軟剤の香料などに反応して体調を崩すようになったそうです。
時間とともに克服はしたものの、その経験から日々使うものや口にするものについて深く考えるようになりました。

その後は、農薬や添加物、調味料などについて学びを深めていきながら、「優しい給食の会」という、無農薬野菜などを使った学校給食の実現を目指す活動にも参加しました。
しかし、そうした思いを言葉で伝えるだけでは、人にはなかなか届かないことも感じていました。
「講演会を開いても、たぶん来てもらえない。でも、おいしいとか、楽しいとか、ゆっくりできる場所があれば、伝えやすいなと思ったんです。」
その思いが、お店づくりの原点の一つになっています。

また、もう一つは、この土地への思いでした。
実家の周りには、田畑や山があり、昔からの里山の風景が残っています。
そして、藤本さんの父親の病気をきっかけに、草刈りや農地の管理など、土地を守るための負担にも改めて目を向けるようになりました。
「いつか」ではなく「今」考えなければならないことに気がついたといいます。
「この場所を大事にしたいけど『いつかやろう』では間に合わないかもしれない。建物や農地を自分が『負担』だと感じたまま、子どもたちに渡してしまうのはどうなんだろうと思いました。」

お店の向かいにある「常勝寺」。
その本堂へ向かう石段は365段あるそうです。
藤本さんは「常勝寺」の檀家でもあります。

時間にも限りがある中で、自分にできる受け皿となるお店を持ちたい。
それが「さとやま食堂」のオープンへと繋がります。
料理には、自家栽培のお米や農薬や化学肥料を使わず作物を育てる農法・自然農で野菜を育てる「田山農園」の野菜を中心に、地域の食材を取り入れています。
お肉は「てらミート」、卵は「芦田ポートリー」と、できるだけ丹波市産のものを使用しています。

店内から厨房を眺めると、奥に「せいろ」がたくさん積まれていることに気が付きます。
ご自宅でも電子レンジの代わりに「せいろ」を使っていたことから、せいろを使ったモーニングやランチが看板メニューになりました。

今回は「重ね煮豚汁朝ごはん」と、ランチメニューの「さとやまランチ」をいただきました。
「重ね煮豚汁朝ごはん」の“重ね煮”とは、食べることで体を整えるという「食養生」の考え方を取り入れた調理法で、文字のごとく野菜を決まった順番で重ねて煮る調理法です。
野菜同士のうま味を引き出し、出汁に頼らなくてもやさしく奥深い味わになるのが特徴と言われています。
ふっくらとした自家栽培米に、「田山農園」さんのお野菜がたっぷりと入った重ね煮の豚汁。これぞ、一日の活力となる「朝ごはん」です。

また追加料金で「芦田ポートリー」の卵が2個付いた卵かけご飯に変更可能。ふっくら炊き上げた自家栽培米との相性も抜群です。


「さとやまランチ」は、「せいろ」で蒸した野菜をたっぷり補給できる、この食堂の魅力が前面に押し出された定食になっています。


小鉢やお野菜はその時の仕入れによって変わるそうです。
この日、話題にあがったのは緑色の「おかわかめ」の小鉢。
酸味のあるポン酢がかかった緑の葉を口に入れると、シャキシャキとした食感。中国原産のつる性野菜で、加熱するとぬめりが出てきて、色つやもワカメのように見えます。

蒸し野菜はお好みで、ごまだれかポン酢でいただきます。
せいろで蒸された野菜は甘みが引き立ち、素材そのもののおいしさを感じられます。
地元の精肉店「てらミート」の豚肉も入って満足感も高いランチです。


この日のデザートは、アイスとバナナがトッピングされたシフォンケーキ。
お好みで ミニデザートやドリンクの注文も可能です。


オープンからまだ数か月ですが、大阪や京都など遠方から訪れる人も少なくありません。
「ご飯がおいしい」
「景色がいい」
「落ち着く」
そんな感想が届くたびに、この場所を開いた意味を実感しているといいます。
今後は、男性にも嬉しい唐揚げやチキンカツなどの新メニューに加え、夏には冷や汁なども考えているそうです。
また、甘味についてもアフタヌーンティーのようなセットでの提供を構想しています。

「懐かしくて、新しい」
藤本さんがこのお店のコンセプトに掲げた言葉です。
昔から受け継がれてきた里山の景色や暮らしの知恵を大切にしながら、今の時代に合った形で人を迎える場所。
さとやま食堂は、食事を楽しむだけでなく、この土地に残る里山の景色や暮らしの価値に改めて気づかせてくれる場所なのかもしれません。
店舗情報
【さとやま食堂】
〒669-3131
兵庫県丹波市山南町谷川1623
〈営業時間〉
平日 11:30~15:00
土・日曜、祝日 9:00~17:00
〈定休日〉
火・水曜
〈ご予約・お問い合わせ〉
電話番号:0795-77-0717
【公式LINE】
ご予約・お問い合わせは公式LINEからお願いします。
【Instagram】
Instagramはこちらから
※営業時間等は変更となる可能性がございます。
ご来店の前に、Instagramにてご確認をお願い致します。
- 投稿者
- ナッツ
- 年代
- 1980年代
- コメント
- 丹波市は、いままでも生活の中でよく立ち寄るまちでした。これからの取材を通して皆さまに魅力をお届けするとともに、自分自身ももっと丹波市の「おいしいお店」や「楽しい場所」、見どころを知っていきたいと思います!

