丹波市には、市外出身のみなさんにも「実家」と思えるようなゲストハウスがあります。

丹波市と京都府福知山市の境界にほど近い丹波市市島町戸平の小さな集落に、築120年になる古民家があります。

豊かな自然と鳥や虫の鳴き声が聞こえてくるこの場所には、まさに日本の原風景があります。それが、今回ご紹介する一軒家貸切の古民家ゲストハウス「やまんなか」です。

 

 

『このゲストハウスにはアピールポイントが2つあるんです』と語るのは、ゲストハウスのオーナーである柳川雅宏(やながわまさひろ)さんと奥様の治代(はるよ)さん。

 

1つ目のポイントは、薪ストーブ。都市部では、なかなか見ることもない薪ストーブが、ゲストハウスを入ってすぐの土間に置かれ、ゲストを迎えてくれます。

冬になると、この薪ストーブに薪をくべながら、近くにあるソファでストーブの炎を見ながら、のんびりとコーヒーを飲むといった“何もしない大人の贅沢”を楽しむ方も多いそう。

 

2つ目のポイントは、室内に設置された囲炉裏。天井から吊るされた自在鉤(じざいかぎ)、囲炉裏の四方を囲む框(かまち)。まさに日本の昔話に出てきそうな情景が広がります。この囲炉裏は、単なるインテリアではなく、実際に火を入れてぼたん鍋などの鍋料理を年中通してお楽しみいただけます。

普通の家ではなかなかお目にかかれない囲炉裏で作ったお鍋を食べるだけでも貴重な体験です。

 

 

 

このゲストハウスとして利用している古民家は、カメラマンをされていた雅宏さんが、和室のロケーションハウスとして活用するために購入され、ロケーションハウスとしての利用がない時には、別荘として使われていたそうです。お子さんが大きくなり、あまり家族で来ることもなくなったため、古民家カフェとしてリニューアルしようとしたそうですが、条件が合わず断念。その時、雅宏さんのご友人がインドネシアのバリでゲストハウスを経営していたことを思い出し、「古民家ゲストハウスやまんなか」としてオープンすることにしたそうです。

 

オープン当時は、特に交通アクセスがいい場所でもなかったため、お客さんが来るかどうかわからないと思ったこともあったそうですが、ゲストハウスとしての利用がなかったとしても、「友人を呼んで楽しめばいいか」と、心配は感じていなかったそう。

そんな想いとは裏腹に、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始といった連休は特に予約でいっぱいになるそうです。

宿泊する方は、家族連れや友人同士が多く、日本人と外国人で半々くらい。日本人は、主に京阪神から、外国人は、アジアや欧米等、広い地域から来られているそうです。

日本人はどこか懐かしさを、外国人は、古き良き日本の住まいを求めてやってくるのかもしれません。

 

予約サイト等では、ゲストハウスの評価が非常に高いため、評価が高い理由をお伺いしたところ、『お客さんのプライベートを守って、自然に対応していることかな』とおっしゃられていました。

宿泊できる古民家の魅力に加えて、オーナーの人柄も含めて「古民家ゲストハウスやまんなか」に人気の秘密があるのかもしれません。

 

例えば、夕食の鍋料理をお客さんに提供する時は、囲炉裏に運ぶまでがオーナー夫婦の仕事。鍋の取り分け等をお客さんにしてもらう際は席を外し、基本的にはお客さんから声がかからない限り、お客さんには自由に過ごしてもらうことにしているそう。

こういった小さな気遣いが、プライベート感をより高め、自分の実家のようにくつろげるのかも。

 

 

 

間口の広い古民家は、風通しがいいため、涼しい縁側で寝転びながら本を読み、そのまま寝てしまうお客さんもいらっしゃるようです。住宅と外の境界にある縁側は、自然の風を感じながらも、家の中にいる安心感があり、穏やかな眠気を誘います。

丹波の自然を眺めていると、私も思わず縁側で大の字になって、寝転びたくなってしまいました。

 

オーナーのゲストハウスのこだわりは、『古い建物を古いままで手を入れている』こと。

 

オーナーは、外観は古い建物でも中に入るとキレイな現代風にリフォームされている建物について、風情を感じられずあまり好きではないとのことで、この古民家のリフォームも、ほとんどを自身の手で行われたそう。傷んだ床を張り直したり、他の方から提供してもらった建具を調整したり、縁側を増設したり。元々スタジオカメラマンでセットを組まれていたことから、こうしたリフォームは苦にならなかったそうです。

 

 

 

 

また、こうした大工仕事の延長で、「heta(ヘタ)」[https://www.heta7772.com/]というブランドでインテリア家具の販売もされています。知り合いに大工がいて、本来なら廃棄してしまうような端材(ヘタ)をもらい受けて制作されています。

ゲストハウス内のサイドテーブル等も、オーナーの手作り。古い木材と鉄材で作られたインテリアが、古民家の雰囲気にとても良く合っています。

 

古い物や捨てられてしまう物、そういったものにも個性を見出して、良さを引き出し新たな価値を見出す。そういったオーナーの思いが、ゲストハウスのあちらこちらで見られ、初めて訪れてもどこか懐かしい、そんな雰囲気をつくっているのかもしれません。

 

 

また、以前に条件が合わず断念したカフェも新たに開店し、ゲストハウスの忙しさが落ち着く平日を中心に不定期営業されています。

カフェの営業日は、Instagram(@cafe_yamannaka[https://www.instagram.com/cafe_yamannaka/])でお知らせされているので、気になった方はぜひフォローしてみてください。カフェは、山の中の立地が珍しいからか、地元の方の利用も多いそうです。

 

 

 

 

今は、「ゲストハウス」に「カフェ」に「家具づくり」にと、多忙な毎日に嬉しい悲鳴を上げているそうです。

 

『何もない自然がいっぱいの場所で、田舎の実家がない人に「田舎に帰ってきた」と思ってもらえることが一番嬉しい』とゲストハウスへの思いを語られていたことが印象的でした。

 

ゲストハウスのリピーター(2回以上)は半分くらいだそうで、多い方は、5回も来られているそう。オーナーの想いがお客さまにもしっかりと伝わっているからこそ、何度でも帰ってきたくなってしまうのかも。そのうち、「ただいま」って言うお客さまも出てきそう。

 

都市部での忙しさに疲れた人は、自然に囲まれた優しい風が流れる「古民家ゲストハウスやまんなか」に帰ってみるのもいいかもしれません。

きっと、いつも変わらないオーナーと奥さんの笑顔と優しさが迎えてくれますよ。

でも、このゲストハウスはすぐに誰かの実家になってしまうので、早めの予約がおすすめです。

 

 

【古民家ゲストハウスやまんなか】

住所:兵庫県丹波市市島町戸平273

予約サイト:AIRBNB(https://www.airbnb.jp/)

※予約サイト以外での宿泊予約は受け付けていません。

チェックイン:15:00~

チェックアウト:~10:00

駐車場:無料駐車場あり

Instagram:@guesthouse_yamannaka(https://www.instagram.com/guesthouse_yamannaka)

私がレポート

稿
まる
1980年代
自然や食べることが好きで、私が気になった"丹波市"を発信中です。
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