今回は、今年最初に取材で訪れたグルテンフリーのカフェ「Come Cafe hana*」さんもこちらの糀を使っているという、「西山酒造場」を訪れました。昔ながらの立派な建物は国の有形文化財、兵庫県の景観形成重要建造物なんだそうです。



▼看板からも歴史を感じます


中に入ると、広々としていて趣のある造りに心が躍ります。


▼カウンターの天板はお酒を絞る槽、側面はお酒の木樽が使われています。




まずは、広報で売り場リーダーである土師さんと、蔵人でワークショップも担当される神田さんにお話を伺いました。


西山酒造場の創業は1849年(嘉永2年)、もう170年以上も続く老舗の酒蔵で現在は六代目が継がれています。その中でも興味深かったのは、先代が少しずつ今の西山酒造場の特徴を造り上げているところでした。

皆さん、西山酒造場のお酒のラベルには俳句が書かれていることをご存じでしょうか。これは、三代目と四代目が俳句の世界に入っていたことに由来します。三代目は弟と共に、俳句の高浜虚子さんの一番弟子に。そして、高浜虚子さんが、西山酒造場を盛り上げるためにと詠まれた句から「小鼓」が生まれました。西山酒造場と俳句は切っても切れないものなのですね。

 


そして、お酒のデザインも特徴的です。これは、五代目から採用された綿貫宏介さんのデザインだそうです。一目見れば西山酒造場のお酒と分かるラベルは、飲み終わった後も花瓶やインテリアにできるほどおしゃれです。

▼過去のデザインが飾られていました

 

そして、現在の六代目からは、一番おいしいフレッシュなお酒をいつも飲んで欲しいという思いから四季醸造にしたのだそうです。また、昔は女人禁制とも言われた酒蔵ですが、西山酒造場では約半分が女性スタッフ。最近では、若い人や外国人スタッフも加わり一緒に働いているのだそうです。今回お話を伺ったお二人も女性でしたので、楽しく働ける環境であることが伝わりました。

▼土師さん(左)と神田さん(右)

 

ちなみに、歴代の西山家の名前には「三(ゾウ)」という文字が使われており、3がラッキーナンバーとして、同じ読みの象がモチーフとして用いられることがあるそうです。機会があれば見つけてみてください。

 

  

必ず買ってしまう?!種類豊富な西山酒造場の商品

筆者、お酒が全く呑めないわけではありませんが、基本的に飲みません。なので、酒蔵の取材と聞いて申し訳ない気持ちがあったのですが、蓋を開けてみれば、帰りにしっかりお土産を購入し、紙袋を携えていました。お酒を飲めない、飲まない人も必見!おすすめ商品をご紹介します。

 

 

日本酒が好きな方へ


「路上有花 黒牡丹」は但馬強力という一度無くなった酒米を復活させて造られたお酒です。しっかりした味が特徴で、土師さんもおすすめの日本酒好きな方にイチオシの商品です。


日本酒が初めての人におすすめな商品は2つ。
まずは「路上有花 桃花」。酒米に兵庫北錦をつかっており、日本酒初心者の方でも飲みやすい味わいで煮物や海鮮鍋料理に合うそうです。また、「ハッピーアワーガールズ」という漫画の2巻にも登場するお酒です。




▼美味しい飲み方も教えてくださる土師さん

 

もう一つは「丹波小鼓 美白酵酒」。酵母の発酵から生まれる自然の炭酸ガスが閉じ込められたシュワシュワする日本酒です。アルコール度数も8度と低めで、発泡と相まって日本酒という感じがせず、飲みやすいです。

 

美味しいお酒をたくさんコスパ良く飲みたい!という方には「純米 花小鼓」がおすすめです。麹に兵庫北錦が使われており、米の旨味が感じられるお酒で、リピーターも多い商品だそうです。

 

焼酎は丹波の名産を使ったもので、「黒豆焼酎 黒丹波」と「栗焼酎 古丹波」があります。両方とも香りがとてもよい焼酎だそうで、特に黒丹波は焙煎した黒豆を使用しているので、開封した瞬間香ばしく、いい香りが広がるんだそうです。

 

 


他にも、冷蔵庫の中は期間限定商品や生酒が並びます。冷蔵庫のお酒は酵母や酵素が生きているので発酵が進み品質が変わらないように冷やしているのだそうです。ご家庭での保管も、焼酎以外は冷蔵庫がおすすめだそうですが、あえて熟成させるという通な飲み方をする方もいらっしゃるそうです。


▼小鼓 純米大吟醸生酒



▼小鼓 純米吟醸生酒



▼青陽(期間限定)

 


迷った時に、どういうものを求めているかをお店の方に相談すると、的確な商品を提示してもらえます。ちなみに、持ち帰り用の紙袋(有料)もお酒と同じく綿貫宏介さんのデザインで綺麗です。

▼一目でお酒の特徴が分かる味わいマップも用意されています


日本酒以外のお酒をよく飲む方へ

アルコール度数40度の「モンテオエステ ジン」はブルーベリー・黒豆茶・有機なた豆茶といった、丹波の名産で造られたクラフトジンで、他にはないスパイシーな味わいなんだそうです。土師さんおすすめの飲み方は、ホットミルクにスプーン一杯のジンとお好みの量の砂糖を入れてスパイシーな香り高いチャイ風に飲むことだそうです。

 

果実酒が好きな方に、おすすめしたい商品は、ワインよりも飲みやすい葡萄ジュースのようなリキュール「深山ぶどう」と微発泡の「深山淡ぶどう」です。

 


また、定番の梅酒もあります。西山酒造場の梅酒「梅申春秋」は珍しいタイプで、裏ごしされた完熟の南高梅の果肉が底に溜まっています。家庭では作ることが出来ない、桃のジュースの様な味わいなんだそうです。


梅が丸ごと入った商品は「プラムトニック梅申」といい、おしゃれなアンフォラボトルに入っているので、母の日の贈り物に人気なんだそうです。


最後は、神田さんがおすすめにあげていなければ、私は一生出会うことが出来なかったであろう、「チョコレートリキュール モンテオエステ」。筆者が個人的に1番感動したリキュールでした。

こちら、リキュールというより、もはやチョコレートソースです。ベルギーチョコレートを贅沢に使用しているのが分かる美味しさで、バニラアイスにこのチョコレートリキュールをかけたら絶対美味しいとイメージできる、大人の贅沢デザートです。神田さんのおすすめは、ミルクに入れて飲むことだそうです。

 

▼蔵人が天職だと話す神田さん。お酒への愛をとても感じました


また、黒豆と栗が入ったパウンドケーキが販売されています。こちらは焼き上げたケーキにそれぞれ「黒豆焼酎 黒丹波」と「栗焼酎 古丹波」を浸したもので、2%ほどアルコールがあります。なので、お子さんや車を運転する前の人は食べることができませんので、ご注意ください。



筆者、家族へのお土産で購入して帰ったのですが、持ち上げるとしみ込んだ焼酎の重みで折れてしまいそうなほどにしっとり柔らかなケーキで、胃の中で熱さを感じるほど焼酎がしっかりしみ込んだ大人のスイーツでした。リピ決定です。


小学生も買い求めにくる「甘酒+ヨーグルト」

海外では日本酒が人気の様ですが、国内では日本酒を飲む人が減少しているそうです。筆者も含め、お酒を嗜む習慣がない人に酒蔵は縁がない場所だとイメージしてしまいがちですが、西山酒造場には小学生も買い求めにくるノンアルコールの「甘酒+ヨーグルト」があります。

 

今でこそ、麹や甘酒といった発酵食品が注目され、人気ですが、10年前はまだまだ世間に浸透しておらず、砂糖ではない甘い発酵食品の良さをなんとか伝えたいと6代目の熱意から考案されたのが「甘酒+ヨーグルト」でした。

本来、ヨーグルトは酒蔵にとって、納豆と同じくらい持ち込めないもののひとつなんだそうです。また、甘酒と聞くと、お正月に飲む酒粕から作られた甘酒が浮かぶ方がいるかもしれませんが、この甘酒は糀甘酒なので、ノンアルコール。お子さんやお酒が飲めない方も安心です。

西山酒造場では、地元の小学生と田植えや稲刈りを一緒にする機会があり、頑張った後は、最後に「甘酒+ヨーグルト」のプレゼントがあるそうです。その味を気に入った小学生が酒蔵にヨーグルトを買いに来るエピソードをお伺いして、酒蔵は敷居が高いイメージを持っているのは、大人だけなんだなと反省しました。

少なくとも、この西山酒造場にはお酒が飲めない人でも楽しめるヨーグルトがあるので、例えばお酒が飲めない友人やパートナーとも一緒に買い物に行きやすいなと思いました。

 

そんな「甘酒+ヨーグルト」は2021年で発売から10年を迎えました。
それを期に4月から京丹後市の平林乳業さんと開発した「甘糀ヨーグルト」が発売されました。こちらの特徴は糀甘酒と牛乳に3種類の乳酸菌が加わって発酵されたもの。飲む前に容器をしっかり振った方が、飲みやすくなります。

 


さらに、広島でこだわりの豆腐製造をしている椿き家さんと共同開発された「甘糀豆乳」も発売されています。

 


賞味期限を気にしなくていい雑貨のお土産も

 

雑貨としては、フェイスシートマスクが販売されています。酒粕は美容に良いと、化粧品で使われていたりもしますが、こちらは甘酒粕エキスが配合された「真!!素滴(まぁすてき)フェイシャルマスク」です。


日本酒のラベルをコレクションされている方への贈り物にピッタリな「御酒印帳」もありました。
こちらは御酒印帳の公認酒蔵を巡り、お酒を購入した上で御酒印帳を提示するとラベルがもらえるものだそうです。


至福の試飲タイム

酒蔵だからこそ可能な試飲。
ただ単にお酒を試飲するだけではなく、お店の方のお酒にまつわるお話や、美味しい飲み方を教えてもらえる事が、何よりの醍醐味です。

 

今回、5種類のお酒を試飲させていただきました。

 

左から「小鼓 純米大吟醸生酒」「丹波小鼓 美白酵酒」「路上有花 黒牡丹」と並びます。生酒は本当にスッキリした甘さでした。筆者は、普段アルコールをあまり飲まないタイプなので、この中では「丹波小鼓 美白酵酒」が酸味を感じ発泡で口当たりがよく飲みやすかったです。


こちらはリキュールの2種類。
「深山ぶどう」と「チョコレートリキュール モンテオエステ」です。普段からカクテルや酎ハイを好んで飲む方は、絶対ハマると思います。「深山ぶどう」はぶどうジュースの様で、チョコレートリキュールは、コップからなかなか出てこないほどの濃厚ソース。どちらも美味しくて、あっという間に飲み干してしまいました。

 

また、アルコールが飲めない方やドライバーさんはヨーグルトを試飲させていただけます。
もちろん、お酒がお好きな方も是非飲んでいただきたい、他では味わえないヨーグルトです。

 

様々なイベントも企画中

コロナ禍で、世間では様々なイベントが中止になってきましたが、取材日時点では兵庫県の緊急事態宣言もあけ、少しずつ観光する人が増えたように感じます。それを受け、これから西山酒造場では様々なイベントを予定されているそうなので、ご紹介させていただきます。


小鼓直売会

10月より、直売会のイベントが計画されています。もちろん、コロナ対策を万全にとって開催されますが、社会情勢により開催予定が変更される場合もありますので、事前に公式サイトをご確認ください。

土師さんイチオシのイベントは2月の「今朝思募里(けさしぼり)酒祭」。
文字通り、イベント当日朝、蔵人が早朝から出勤し絞ったお酒を購入することができるそうで、究極にフレッシュなしぼりたての米の旨味が分かるお酒が楽しめるそうです。

 

利き酒体験

こちらは、初の試みだそうで、神田さんが蔵人として参加されるそうです。気になる内容は、西山酒造場厳選のお酒5種類を味わいながら蔵人のお酒にまつわる話を聞くことが出来ます。また、地元丹波の食材を使ったおつまみ2種を食べながら、お酒とペアリングもを。お酒のお土産もついているそうです。ドライバーさんはノンアルコールプランもあるので、一緒に参加することも可能です。

年内は緊急事態宣言解除直後の情勢を加味し、丹波市民限定の開催となっていますが、来年以降は、コロナ情勢を見ながら毎月第三土曜日に広く参加者を募る予定だそうなので、こちらも定期的に公式ページを確認してみてください。

 

 

老若男女が集える酒蔵

 
取材前は、お酒をほとんど飲まない筆者が酒蔵の魅力を伝えることが出来るのだろうかと不安でしたが、そんな気持ちとは裏腹に、魅力満載でした。取材が終わる頃にはこのお店を離れるのが少し寂しくなる程、居心地の良い空間とおもてなしをしてくださるお店でした。

 


お酒を飲めない方やお子さんも体にもいい「甘酒+ヨーグルト」や「甘糀ヨーグルト」を酒蔵で味わえるところが本当におすすめです。

そして、お酒好きの方にも、蔵人が自信をもって売り出している個性的なお酒を購入することが出来るので、お気に入りの商品に出会えると思います。

西山酒造場の商品は、丹波の道の駅等で購入することも可能ですが、せっかく丹波まで足を運ぶ機会があれば、この酒蔵でお買い物することをおすすめします。

  

西山酒造場

名称 「西山酒造場」
所在地 兵庫県丹波市市島町中竹田1171
営業時間:9:30〜17:30
定休日:不定休
HP:https://kotsuzumi.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/kotsuzmi/

 

私がレポート

稿
MATY
1980年代
自ら取材やレポートを行い、一次情報の記事を大事にしているフリーランスのライター。高校時代から趣味でホームページを開設。発信で世界と繋がる魅力にハマり、以降も趣味が出来るごとにブログを綴る。動物看護士、大手通販会社勤務、全国の百貨店を飛び回る催事販売員を経て2019年独立。趣味は社会人サッカーリーグの魅力を発信すること。ドリカムを崇拝しているアラフォー。
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